皆さま、1話はいかがでしたでしょうか? 1巻から編集部がピックアップした、『あした死ぬには、』の共感あるある名シーンをピックアップ♡ 雁さんのインタビューへと続きます♪

【ミモレ編集部 PICKUP名シーン5】

40代はまだまだ若いのか、オバさんと悟るべきか?『あした死ぬには、』【漫画家 雁 須磨子さん】_img1
あまりにも仕事ができない、コネ入社の梅木(バブル世代)から、日々迷惑をかけられている主人公、多子(さわこ)。イベントに大遅刻したお詫びとして、梅木に食事に誘われ、2件目のバーで…。脱力系怒りがわいてくる失笑シーン。

 

40代はまだまだ若いのか、オバさんと悟るべきか?『あした死ぬには、』【漫画家 雁 須磨子さん】_img2
多子(さわこ)の中学時代の親友で、今は専業主婦の塔子(42歳)。娘の大学入学を期に、パートに出ようと一念発起。23歳で7つ年上の夫と結婚し、24歳で出産した娘とは、女ともだちのような良好な関係。

 

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「おばさん」と同世代の同僚から何気なく言われた言葉に傷ついたり。お客さんからオーダーの際に「オバチャン」と声掛けされて、またえぐられたり。きわめつけに、後日、20代の同僚男子からフォロー発言が、また別の角度でえぐってくる……。娘との会話で思わず、「ああママ ちゃんと おばさんに ならなきゃなって 思ったの」。40代越え…それは、”ちゃんとしたおばさん”への道なの?

 

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仕事で出会った男性・有岡と近所で遭遇した多子(さわこ)。声をかけても不自然ではないのに、つい、面倒に思うこのシーン。この出会いの先に、恋も友情も目新しい展開はないやろ、という生きスレた40代婦人のため息のような心持ち。わ、わかる~!

 

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有岡は実は余命宣告を受けたガン患者。それを知ってお茶をするも、有岡の「いつか映画を撮りたい」という”男の夢物語”を聞き流せず、リアルにツッコミを入れてしまう多子(さわこ)。あぁ、本当に女っていうやつは…男っていうやつは…と思っちゃいます。

 

丁寧で緻密な取材と想像力から、描き起こされるリアリティ


雁さんは主人公多子(さわこ)よりも少しお姉さん世代。ご自身が通ってきた道であると同時に、「担当さんと一緒に映画宣伝会社の方に取材をしたり、日々、いろんな方のお話を取材していますね。私は会社員の経験がないので、もちろん想像で描く部分も。もともと、”あるある”を描くのが好きだし、得意なんです」という雁さん。

以前、雁さんが描いた『かよちゃんの荷物』は、アラサー主人公の物語で、こちらも共感必至のショートストーリーとして話題になっていました。「20代、30代ときたので、次はアラフォーかなと(笑)」と雁さん。

『あした死ぬには、』を読んでいると、素敵なオバさんになるためにはどうしたら? という問いが頭から離れません。オバさんの自覚は、ある日突然白黒がつくのではなく、少しずつ軽い塵が気が付かないうちに重なっていくような、グレーのグラデーションなのですよね、きっと。周りからかけられる言葉や、遇され方、自分の体調の具合で「ハッ…!」と、ひとつずつ自覚が生まれるのかなと、手に取るように共感できる漫画なのです。

雁さんは、「読んで楽しかった、あるあるで共感できた~というお便りもありましたが、こういう風になっちゃうの!?と、ちょっとコワイというお便りもいただきました(笑)。肩が急に痛くなったり、心臓の動悸で目が覚めてしまったり」。

シングルで働く多子(さわこ)とタイプの違う専業主婦の塔子(とうこ)。2人ともライフスタイルは違えど、40歳の壁を越えて、年の取り方について思いを馳せるのです。そんな2人が連絡を取り合って会うシーンも印象的。

「40代になると、めんどくさそうな展開になりそうなことに、わざわざ首をつっこまなくなりますよね。あ、これ1回やったことある、5回は見たことある、という(笑)。人との駆け引きも面倒くさいし、もしも答えが見えているならそこへ直行でよくない?という気持ちも出てきますよね。効率的になるのも40代かなと。自分が40代だと認めて、いろんなことを実感していくと楽なんですが、読んで苦しくなるのは、まだ受け止めきれてないというサインかもしれないですね。加齢への恐れというか。”受け入れたくない”まではいかないけれど、ここまでは、まだ自分はいってない、自分はまだ大丈夫とかね(笑)。例えば、私は老眼はまだ来てないとか、少しだけ若さを感じて嬉しくなるってありますよね。小さなことだし、それによって相手より優位に立つわけでもないんですけど、ちょっとしたいいことです。かと思えば、久しぶりに同窓会に行ったときに、子どもが二人もいる同級生がすごーく若くてぴかぴかしていて、私よりとても若いな~と思ったり。いろいろと揺れてOKかなと思います」


40代はまだまだ若いのか、オバさんに進んでいくのか? 加齢への自覚とは


「だから、すんなりとオバさんを受け入れることもあれば、ちょっとは抵抗してジタバタを楽しんでみたり。若いころに戻りたいと基本的には思っていないけど、たまには、ちょっと戻ってみるか、みたいなそのあたりを描きたいなと思ってます。私自身、多子(さわこ)、塔子(とうこ)、鳴神さん(もう一人の同級生)のいろんなタイプの要素が自分の内面にあるなと感じています。加齢にちょいちょい抵抗してみたり、ね。そうそう、洋服問題、難しいですよね」と雁さん。

冒頭で紹介した塔子さんの後ろ姿! 肌はツヤツヤなのに背中がまるくなっている、絶妙な40代の後ろ姿。自分で鏡で確認しやすい前半身よりも、自覚しづらい後ろ半身の絶妙なボディラインが、本当にあるあるなのです(笑)。

「太っているわけじゃないんですけどね(笑)。加齢を意識して、一度は、ユ●クロの提案する無地の世界へ…豊かなサイズ展開の世界へ…いざなわれてしまいますね」

ミモレでいうところのおしゃれ更年期!ですね。例えば、ボーダーなど若い頃に似合っていてコーデが得意だった服ほど、急に似合わなくなるとか。

「わかります! 想像している自意識の自分がちょっと若いままだから、ふと鏡に合わせたときにすごく似合っていないことがあります。とはいえ、似合わなくても好きだったらいいのかなと思うこともありますし、ゆったりしたワンピースを着て、吉祥寺の商店街で買い物をするおしゃれママになった気分を味わったり。ユニクロもしっかり愛用しています。サイズ展開も素晴らしいし(笑)。気に入ったものがあっても、サイズがすごくタイトで着られないこともありますからね」

40代あるあるの共感と可能性がつまった『あした死ぬには、』。気になる続きはwebでチェックを!

 

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『あした死ぬには、』

著者 雁 須磨子 太田出版

本奈 多子(ほんな・さわこ)、42歳、独身。 映画宣伝会社に勤め、ハードワークをこなす日々。
ある夜突然、心臓の動悸が止まらず、体が冷たくなって……。もしかして私、更年期障害かもしれない。

歳をとるのは怖いですか?  切実に生きる女子たちの心に寄り添い、そっと背中を押してくれる本。20代ほどがむしゃらじゃない。30代ほどノリノリじゃない。40代で直面する、心と身体の変わり目。立ちはだかる40代の壁。 突然の病気、更年期障害、取れない疲労、働き方の変化、お金の不安、これからの人生プラン……私のあしたはどうなるの!

文/藤本容子 
 
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