女性というのは、言葉で伝えることが得意な傾向がありますので、言葉で言えば伝わる、と思ってしまいがちです。しかし暴力を働く男性というのは、言葉が上手く出てこないので手を挙げている、という面もあるのです。つまり、kaolilyさんのコミュニケーション手段は言葉、夫は行動なのです。そのようにkaolilyさん夫婦の場合、コミュニケーションの手段が違っていると思われますので、夫に伝わるようにするには、同じく行動というコミュニケーション手段をとる必要があります。ですから、家を出る、という行動が大切なのです。実家に帰るなり、追いかけてくる危険があるならDVシェルターに逃げるなりされてください。行動を起こさない限り、夫に「NO」のメッセージは伝わりません。

「しつけ」と称して首を絞める真似…DV父親が暴力をやめられないワケ_img1
 

行動を起こさないと、もう一つ懸念されることがあります。それはお子さんの心理です。今の状況は、お子さんからすると母親に守ってもらえていないのと一緒です。やがて、「母は口で言うだけで私たちを守ってくれない」と受け止めるようになるでしょう。お子さんたちを守りたいと思って悩まれているのに、そんなふうに思われてしまうのはお互いにとってマイナスです。そうなる前に、お子さんを連れ出してあげてほしいと思います。

 

そうして出て行ったうえで、おこなってほしいことがあります。恐らく夫は、自分も親に叩かれて育ったのだと思います。その場合は、叩くことが良くないことだと分かっていません。kaolilyさんと子どもたちが出て行って初めて、ダメだったのだと気づくでしょう。そのとき、夫に治療を受けることを勧めてほしいのです。

治療を受けることで、本人に「叩く自分は普通じゃないかもしれない」という問題意識を持たせることができますから。kaolilyさんの夫のように、殴ろうという明確な意図を持たずして殴っているタイプは、本人が「自分はDVを働いている」という自覚を持つことが何より大事です。そのためにもできるだけ早く、家を出る→夫に治療を受けさせる、という行動を起こしてほしいのです。今はkaolilyさんのことは殴っていないとのことですが、一般的にDVはエスカレートしますから、遅かれ早かれkaolilyさんにも手が出るようになってしまいますよ!
 

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 取材・文/山本奈緒子

 

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