新型コロナウイルス感染の長期化で、イライラ、ピリピリしていませんか? 
ストレスが溜まり、家庭内での喧嘩は暴力行為や離婚にまでつながっているという報告があります。このままコロナパンデミックが続けば、日本経済に大きなダメージとなり、仕事を失った不安によりうつを発症する人、感染恐怖症や極度に汚れを気にする不潔恐怖症、いわゆる潔癖症などの強迫神経症で、精神科を訪れる患者さんが増えると予測されています。うつは重症化すると非常に治りにくい病気です。

だからこそ、「コロナうつ」で精神的・感情的障害を引き起こさないよう、今こそコロナに負けないココロとカラダ作りが大切です。
体の救世主と呼ばれるHSP(ヒートショックプロテイン)研究の第一人者伊藤要子先生に、自宅で簡単にできる3つのコロナうつ予防法を教えてもらいました。

「【自宅でできるコロナ感染予防】医学博士が提唱!免疫力がアップする入浴法」はこちら>>


① お風呂の入り方


「HSPとはストレスやウイルス感染から体を守り、リンパ球などの免疫力を増強する働きを持っている体内にあるたんぱく質です。さらに、HSPは脳の神経細胞をもストレスから守っているので、コロナうつといったメンタルの落ち込みを防ぐことが期待できます。自宅のお風呂でHSPを増やすHSP入浴法をぜひ実践してみてください。」(伊藤先生)。

以前から精神科医師たちと「うつ病とHSP」の共同研究をしてきた伊藤先生。その結果、うつ病患者さんはHSPが減少していていることがわかったといいます。そしてHSP入浴法によってHSPを増やすことで抑うつ気分、不安、自律神経機能、握力の改善が認められると、報告してきたのです。
他にもストレスを与えてうつ状態にしたマウスの脳の海馬では、HSPが著しく減少し、HSPを増加させる薬剤の投与でうつ行動が改善したとの報告もあります。
つまり、うつの発症にはHSPの減少が関与していることが明らかになっているのです。

【コロナストレス&鬱 3つの予防法】医学博士が教える入浴・睡眠・運動の極意_img0
 

コロナとの長期戦に備えて健やかなメンタルを保つために、脳の神経細胞を守るHSPが減少・枯渇しないよう自宅で「HSP入浴法」を実践しながらHSPを高めていきましょう。

 

<HSP入浴法>


・入浴時間は40℃の湯温なら20分、41℃なら15分、42℃なら10分
・体温上昇としては1.5~2.0℃を目指す
・肩まで浸かる全身浴が基本
 ・入浴後は、身体の水分をよく拭き取り、10~15分間、37.0~37.5℃で保って保温。この時、大量に汗が出るので、水分補給を忘れずに。
 ・週2~3回がオススメ
※詳細は伊藤要子先生HPの「HSP入浴法」参照

② 質のよい睡眠

【コロナストレス&鬱 3つの予防法】医学博士が教える入浴・睡眠・運動の極意_img1
 

「人生の3分の1は睡眠時間です。ぐっすり寝た朝は心身ともにスッキリしますよね。寝ている間、身体と脳の疲れを取り、修復・再生が行われています。普段でも睡眠不足だと、免疫力が低下して風邪をひきやすくなり、睡眠不足が続けばうつにもつながります。

逆に、ウイルスや細菌に感染すると、発熱して眠くなり自分を守ります。これは体内に入り込んだ異物を排除しようとする生体防御反応。そして、睡眠時のもうひとつの大切な役割は、さまざまなホルモンバランスの調整が行われていることです」(伊藤先生)。

睡眠に関わる代表的なホルモンの1つ目はメラトニン。睡眠を促し、生体リズムを調節。夕方以降、暗くなってくると分泌量が増え、眠りの準備を整えます。
2つ目はコルチゾール。睡眠中は低く、明け方に高くなり覚醒の準備をします。ストレス過剰の現代ではこのコルチゾールが多量に分泌されているので、分泌を減らす睡眠(深い眠り)が、ストレスに負けない心身のために必要なのです。3つ目が成長ホルモン。寝る子は育つというのはまさにその通り、また成長ホルモンによって傷ついた細胞が修復され疲れが取れます。

「うつ病患者の90%以上が不眠を訴え、不眠を訴える患者の20%がうつ病を発症しています。これは睡眠不足や不眠で、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が、睡眠で抑制できず興奮が続くためと考えられます。また、睡眠には深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠があります。

ノンレム睡眠:脳の休息、体組織の修復、免疫機能増強
レム睡眠:体の休息、記憶の整理・固定

約90分の周期でノンレムとレムを4~5回繰り返して、朝の目覚めがあります。睡眠のリズムが整っているとしっかりとリフレッシュできるのです。

お子さんは長期の休校で生活習慣の乱れ、夜ふかし、不規則な睡眠、遅い起床、夜型生活と負の連鎖が起きかねません。睡眠不足になればネガティブ指向が加速してうつなどの精神疾患のリスクが高まってしまいます」(伊藤先生)。

睡眠とうつは深い関係があるのです。最もうつ症状の頻度が少ないのは睡眠時間7~8時間で、それより長くても短くてもうつ症状の頻度は増えるという報告もあります。
 

<よい睡眠を得るための5カ条>


1    睡眠を妨げるストレスを遠ざける
コロナ感染ニュースの恐怖で眠れない人が増えています。寝る前のテレビニュースの視聴は避けて。PC、メールのやり取りなども妨げに

2 深部体温を下げる
体温の低下が入眠につながるので、入浴は睡眠の1~2時間前くらいが効果的

3 運動週間を身につけ、適度な運動をする
日中、陽を浴びながら散歩、ジョギングなど適度な運動(1日30分のジョギングを1~2週間継続するとHSPも増加します)

4 就寝2~4時間前までに夕食を終える
タンパク質・脂肪の消化には2~3時間要するため、睡眠中のホルモン分泌機能が妨げられる

5 日中に長時間の昼寝はしない
長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げます。どうしても眠い時は15時までに15分~20分程度で

 
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