新型コロナとともに過ごす初めての夏。花火、墓参り、帰省、プール…。夏のイベントごとの感染リスクについて、総合診療医の山田悠史先生に聞きました。過去の記事と合わせて参考にしてください。

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7月中旬に入り、例年であれば、夏休みの予定ももう固まっている頃かもしれません。しかし、今年は新型コロナウイルス感染症の流行で先行きが見通せず、まだ夏休みの計画を立てられていない方、今年は諦めて自宅でゆっくり過ごそうと計画されている方もいらっしゃるかもしれません。

本稿では、夏の各イベントに伴う感染リスクについてまとめました。夏季休暇の計画を立てる際のご参考にしていただければと思います。

 


中止や延期も多い花火大会


夏と言われて、まず私が思い浮かべたのは花火大会でした。日本の夏を彩る花火大会、その感染リスクはどの程度なのでしょうか。

花火大会は、基本的に屋外でのイベントですので、屋内で人が密集するイベントと比較すれば、感染伝播のリスクは低いと考えられます。これをさらに人が集まらない場所から眺めたり、会場の設計として1メートルや2メートルのソーシャルディスタンスが測られたりしていれば、比較的安全に観賞ができるものと思います。

しかし、規模の大きな花火大会では、例年100万人規模で人が集まりますから、100万人も観客が集まれば、いくら感染者の率が低い地域でも、観客に感染者が混じる確率は高率になります。例えば、東京都の人口1000万人の中に100人の感染者がいるとすれば、100万人が集まれば10人の感染者が観客の中に混じるという単純計算になります。

このような主催者側の計算もあってか、今年は残念ながら中止を早くから決定している花火大会が多いようです。もしかすると、開催を仮に決定した場合の「風評被害」への懸念などもあったかもしれません。会場でのソーシャルディスタンスを図る、チケット制にして交通整理をする、車からの鑑賞にする、などより安全な開催に向けての工夫や選択肢も考えられますが、延期している大会については、より綿密に計画をしてから改めて開催するものもあるのかもしれません。

 


墓参りに行くかどうかの判断基準


それでは、墓参りのリスクはどうでしょうか?こちらは花火大会とは、まただいぶ異なるシチュエーションです。

その中で、花火大会と共通しているのは、屋外であるという点です。基本的に屋外の方が屋内よりも感染伝播のリスクは下がります。飲食店への休業要請をしている米国の複数の州で、「テラス席は可」としているのもこのためです。

花火大会と大きく異なるのは、人が密集しないという点です。墓地を訪れる際、墓地を訪れている方は他にもいらっしゃるかもしれませんが、皆が密集してということは考えにくく、感染伝播のリスクも低いと考えられます。

また、墓参りと花火大会の違いは、その重要性にもあるかもしれません。もちろん花火を見るのが生き甲斐だという方や花火職人の方はこの限りではないかもしれませんが、多くの方は「まあ花火は来年でも」というのが落としどころになるかもしれません。一方で、墓参りは、先祖や亡くなられたご親族に想いを馳せる大切な行事ではないかと思います。これは今年も欠かすことはできない、と思われる方も多いのではないでしょうか。

物事はなんでもリスクと利点の天秤です。仮に外出に伴う感染リスクがあるのだとしても、墓参りがそれを上回るほど大切なことであれば、是非とも足を運ぶべきなのだと思います。

ただし、「周囲に迷惑をかけられない」という思いもあると思います。出かける場合には、自分が感染している可能性にも目を向け、人にうつさない取り組みをする必要があります。すなわち、人との距離を空ける、距離を十分取れない環境ではマスクを装着する、咳エチケットを行うなどです。このような人にうつさない取り組みも行い続けることが大切です。

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