“自己分析をしないと進化しない”が信条

 

「一つのキャラクターをずっと押し通すのも素敵なことですけど、私の場合は振り幅が大きいほうが自分らしい」と自己分析する小柳さん。この“分析”こそが自分の強みだと言います。

「私ね、分析力がないと人は進歩できないと思っていて。たとえば何かが流行ったり、ものすごく人気になったりしたとき、『ああ、今はこれが人気なのね』で終わらせないんです。なんで人気があるんだろう?どういうところが人々にウケているんだろう?ということを徹底的に分析するの。
だって分析しないと自分に落とし込むことができないじゃないですか。何事も分析するから『こうしたらいいんだ』と見えてくるんだと思うんですよ」

それは、これまで共演した多くの大物芸能人から学んだことでもあると言います。

「たとえばビートたけしさん。私は『ビートたけしのTVタックル』など多くの番組で共演させていただいたんですけど、まあ嫌味のないブラックジョークがポンポンと飛び出すわです。
本当に頭の回転の早い方だなあと思って、ある日ご本人に聞いたんですよ。『本当に頭がいいですよね。生まれつきだと思うですけど、どうしたらあんなにポンポンとネタが出てくるんですか?』と。そしたらね、こう答えられたんです。『いやあ、頭が悪いから努力してるんです。歴史の本は食べるほど読んだし、新聞や週刊誌もほぼすべて目を通しています』と。
こんなすごい方でも、そうやって自分を分析して努力し続けてるのだなあと驚いたものでした」

 

分析好きが高じて小学生も知るサッカー通に

 

分析することをやめたら進化は止まる、それが小柳さんの持論。何より、「分析することはすごく面白い」とも言います。
そんな分析好きな性格が、思わぬ形で威力を発揮したのがサッカー。メッシ選手にハマったのをきっかけに徹底的にサッカーを観戦し分析しまくっていたところ、サッカー関連のお仕事もたくさん舞い込むように。
好きな事、気になることを徹底的に分析し追求して来た結果、「自分で新しい道を切り開いてこられた」と笑顔で話します。

「おこがましいんですけど、サッカー本まで出させていただきまして。でも情報収集に費やす時間は、誰にも負けないぐらいです。1日最低5試合、多いときは10試合くらい観戦しているでしょうか。それもリアルタイムで。
好きなメッシ選手のこともとことん調べましたし、ビデオも何十回も見直しました。みんなに『いつ寝てるの?』と聞かれるんですけど、私ぐらいの歳になると『死んだらいくらでも寝られるんだから』と思ってしまうんです。生きているときしか観られないわけですから、寝るより大事なんですよね」

そんな徹底した勉強・分析もあって、今やスタジアムに行くと誰もが小柳さんのことを「あ、小柳ルミ子さんだ!」と迎えてくれるそう。小柳さんの歌手の姿も、女優の姿も見たことがない5歳の男の子が、「ルミ子さん、握手してください」とやって来たこともあったそうです。

「それで『君もサッカーやってるの?どこのポジション?』『ミットフィルダーです』なんてやり取りをしたりしてね。そんな小さい子でもサッカーを通して私という存在を知ってくれているのは、嬉しい限りですよね。
こうしていろんな世代に認識してもらって、50年も芸能生活を続けてこられたのは、“分析する”ということを常に大事にしてきたからでもあると思うんです。

 

今はコロナウイルスが広がっていて大変ですけど、これも毎日情報を集めて私なりに分析し、対策をとっています。何事も分析していれば、必要以上に恐くならないもの。だから是非皆さんにも分析することをおすすめしたいと思います」

小柳さんの分析力は、もちろんその美貌にも生かされています。
次回は美のキープの秘訣について詳しくお届けします。

取材・文/山本奈緒子
撮影/Junko Yokoyama (Lorimer management+)
構成/片岡千晶(編集部)

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