では、どうすればいいのでしょうか? そのときこそ手帳の出番です。手帳を使うことによって、1ヵ月や1週間、1日といった時間単位でこの戦略を考えたり、振り返って修正したりすることができるようになるのです。

 

戦略も大・中・小の3つの視点で組み立てていく必要性があるのです。大きく「1年後にはこうなっていたい!」という絵を確認しつつも、小さく「1週間後にはこうなっていたいな」と考える。この両面が大事になってくるのです。

 

・戦略の3つの軸
・手帳の3つの視点

この「戦略(3つの軸)」と「手帳(3つの視点)」がかけ合わされて、以下の9つの要素(3×3)を武器とした「目標達成思考」が完成します。

 

①大現状分析:この1ヵ月を踏まえ、自分は今どのようになっているのかを分析する
②中現状分析:この1週間を踏まえ、自分は今どのようになっているのかを分析する
③小現状分析:その日を踏まえ、自分は今どのようになっているのかを分析する
④大理想把握:自分は1年後、どうなりたいのかを把握する
⑤中理想把握:自分は1ヵ月後、どうなりたいのかを把握する
⑥小理想把握:自分は1週間後、どうなりたいのかを把握する
⑦大方法論構築:自分はこの1ヵ月、具体的に何をすべきなのかを決定する
⑧中方法論構築:自分はこの1週間、具体的に何をすべきなのかを決定する
⑨小方法論構築:自分はこの1日、具体的に何をすべきなのかを決定する

この9つの要素こそが、目標達成思考そのものです。次に9つの要素をそれぞれどの時間単位で実践していくのか、ということについてご説明します。

【週間 手帳フォーマット例(受験版)】毎日の「小現状」では、自分は今どのようになっているのかを分析。例えば月曜日の小現状は「学校の後、友人と休憩したので自習時間が予定より減った→この時間は減らしたくないので、それを踏まえた予定が必要」と問題点を可視化している。

●1年単位
大理想把握を行います。当たり前のことですが、「1年後どうなりたいか」といった大きな理想がなければ何も始まりません。

●1ヵ月単位
大現状分析、つまり前の1ヵ月を目安に振り返り、等身大の自分を把握していきます。具体的には、「今、何ができて、何ができないのか」「なぜできて、なぜできないのか」といったことを分析します。

そして、それを踏まえて、中理想把握を行います。具体的には、「1ヵ月でどうなりたいのか」ということや「なぜ1ヵ月でそうなりたいのか」ということを把握します。

最後に、大現状分析と中理想把握をつなぐための大方法論構築、すなわち「1ヵ月で具体的に何をするべきなのか」を考えていきます。

それが決まった後は実際のアクションに移し、終わり次第、大現状分析に戻って繰り返します。以上の3つが1ヵ月単位で行う要素です。

●1週間単位
1週間単位も1ヵ月単位と順序はほとんど同じで、まず前の1週間の現状を振り返り、失敗と失敗の理由、成功と成功の理由を分析します(=中現状分析)。
次に、「1週間でどうなりたいのか」を把握します(=小理想把握)。
最後に、「1週間で具体的に何をするのか」を考え、実際のアクションに移して繰り返していきます(=中方法論構築)。

●1日単位
ここで行うのは小方法論構築と小現状分析の2つの要素になります。1日単位ですから、これら2つの要素は毎日行うようにしましょう。

具体的には、まず「その日に具体的に何をするか」を考えます(=小方法論構築)。これを考えたら実際のアクションに移ります。

次に、小方法論の実践やその日の生活の中で気がついたことなどを踏まえ、小現状分析を行っていきます。つまり、アクションの途中やアクションの後に見つかった自分の課題などを記録しておく、ということです。

そして、記録した内容を踏まえて、次の日に具体的に取り組むことを決めたり、修正したりして同じように繰り返していきます。
 

大現状分析や中方法論構築といった単語が難しいと感じる方は、これらの単語を覚える必要はありませんので、1年単位・1ヵ月単位・1週間単位・1日単位でそれぞれどのようなことをすればいいのか、イメージでとらえるようにしてみてください。
 

著者プロフィール
相生昌悟さん
:2000年生まれ。地方公立高校出身の現役東大生。高校入学当初から勉学に励み続けるも、思うような結果に結びつかず、努力の仕方を考え始める。最終的に、努力を必ず目標達成に導く「目標達成思考」を確立し、高校3年時に東大模試で全国1位を獲得する。その後、東京大学に現役合格。現在は自身の経験を全国の教師や学生に伝えるべく、「リアルドラゴン桜プロジェクト」で高校生にコーチングを行っている。また、noteでは「普通の東大生 ねこ」という名前で東大の過去問解説を行っている。

 

 

『東大式 目標達成思考 「努力がすべて」という思い込みを捨て、「目標必達」をかなえる手帳術』
著者:相生昌悟 日本能率協会マネジメントセンター 1540円

現役東大生が明かす、受験、ビジネス、人生とあらゆる目標を叶えるための方法とは? 目標や計画の立て方、現状分析の方法まで、手帳を用いて実践する「目標必達」テクニックを教えてくれます。


構成/金澤英恵