「別居」というと、ネガティブなイメージを抱く人も少なくありませんが、実際はどうなのでしょうか。「結婚しているのであれば、一緒に住むのが当たり前」なんてこだわりを捨てることで、むしろ幸せな結婚生活を送れることもあるもの。それを分かっている人は、わざわざ「別居婚を選ぶ」こともあるかもしれません。
「別居婚」をする人は、どんな理由があって別々に暮らすのでしょうか?

別居婚を選ぶ理由1:自分らしく、自分のペースで生きる大切さに気付いたから

「別居婚」を選ぶ人がこれから増えそうな5つの理由_img0
 

自分らしさを失ってしまうと、人は幸せではいられなくなってしまいます。自分らしくいられる相手と結婚したとしても、生活を共にするとなると、お互いの習慣も違えば、生活スタイルが合わないこともあるもの。そんなときはお互いに折り合いを付けることは大切ですが、もし過度な無理や我慢をしなくてはいけないのであれば、別々に暮らしたほうがいいこともあります。

例えば、35歳以上で1人暮らしが長くて、自分の心地よい生活スタイルができてしまっている2人が結婚した場合、よほど柔軟性のある性格でない限り、一緒に暮らすと苦労するものです。それこそ「バスタオルを取り換える頻度」という些細なことであっても、「なんで毎日取り換えるの?」「どうして3日も同じバスタオルを使うの?」とイライラしてしまうことも。その価値観の不一致の積み重ねが、関係を壊してしまうこともあるのです。

また、夫婦共稼ぎであるにも関わらず、妻が主に家事全般をやる家庭は多いもの。どうしても”従来の結婚のスタイル”に引きずられてしまうものなんですよね。
だから、妻が仕事のことで1人になって集中したいときも、食事や掃除などの家事に追われるし、逆に、仕事も家事もどっちも中途半端になってしまうと、自分を責めたりして苦しんでしまうことも。
夫も「妻の仕事を理解している」なんて言っておきながら、実際にご飯の用意や掃除ができていなかったら、不満を抱くことは多いでしょう。

逆に夫だって、食欲がなくても妻がご飯を用意していたら食べなくてはいけないこともあるでしょうし、家事全般を妻がやっている分、自分が口出しできないこともあるもの。
そういう我慢の積み重ねでお互いにストレスを溜めてしまい、喧嘩になるくらいであれば、別々に暮らして、自分らしく、自分のペースで生きたほうが、お互いに楽なこともあるんですよね。

現代は、社会の変化によって、女性が外でバリバリ働いていたり、夫の給与だけでは家族を養えなかったりすると、”従来の家庭”のような生活を送るのは、現実的に難しいことが多いもの。そんな状況であるにも関わらず、「夫らしさ」「妻らしさ」という、自分に、そして相手に”合わないもの”を押し付け合いながら共に暮らす場合は、我慢と忍耐が必要となってきます。

夫婦というのは、お互いに「夫としての役割」「妻としての役割」を強く求めるほどに、うまくいかなくなってくるもの。相手に期待してしまうからこそ、「なぜ、夫(妻)なのに、それをやってくれないの?」と腹を立てたり、傷ついたりしてしまうからです。
本来は、お互いが相手のことを思いやり、「相手らしさ」を尊重した、”我が家ならでは”の生活スタイルを作っていければいいものですが、そんな柔軟性を持つのは、意外と難易度が高いもの。多くの人が、「夫(妻)としての役割をきちんと果たしてもらわないと、困る!」と思ってしまうのです。

でも、別々に暮らす場合は、そこまで相手に求めなくなります。お互いに自分らしく、自分のペースで生活できるし、パートナーに対して寛容な気持ちになれる分、関係がうまくいくことがあるのです。


別居婚を選ぶ理由2:適度な距離感があったほうがうまくいくから


血のつながった親子ですら、別々に暮らしたほうがうまくいくことは少なくありません。例えば、親の介護にしても、自宅で親の世話をしていると、自分も疲労困憊して精神的に余裕がなくなり、親にストレスを当たり散らしてしまうなんてことも。
だから、もし経済的に可能なのであれば、親には高齢者用の施設に入ってもらって、プロの人に生活面でのお世話してもらったほうが、お互いに心に余裕のある状態で会うことができるので、良好な親子関係が築けることもあるのです。

それは、”血のつながっていない夫婦”であれば、なおさらかもしれません。別々に暮らしたほうが、お互いに相手に気遣うことができて、いい関係が築けることもあるのです。
「親しき仲にも礼儀あり」というのは、親子でも夫婦でも大切なことですが、それができる人はなかなかいません。一緒に住むと、どうしても甘えが出てくるものですしね。
逆を言えば、甘えられないような相手、緊張する相手とは、一緒に暮らせないもの。だから、どんなに「親しき仲にも礼儀あり」を心がけても、気を許した家族には甘えてしまうものなんですよね。

つまり、別々に暮らして、敢えて”適度な距離”を作ることで、お互いに「親しき仲にも礼儀あり」を心がけることができ、関係がうまくいくこともあるのです。

 

別居婚を選ぶ理由3:お互いに自立していて、別居をしても支障がないから


女性も社会進出し、経済力を持てるようになったことで、パートナーに生活費を補ってもらう必要のない人は増えてきました。逆に男性も、1人暮らしの経験が長いと、家事が一通りできる人はいるもの。
だから、お互いに”自分の足りないもの”を相手に補ってもらわなくても生活できる場合は、「自分のペースを崩してまで一緒に住む必要性がない」とも言えるのです。

ある程度大人になれば、経済面だけではなく、精神的にも自立していることが求められてきます。もちろん人間だから、「支えてほしい」という気持ちは沸くものですが、余程切羽詰まった時以外は、「自分でもどうにかできる」くらいの自立心があったほうが、大人の関係ではうまくいくもの。
逆を言えば、”自分で自分を保てない人”が相手に対して支えてもらうことを求めがち。例えば、ストレスが溜まった時は「癒してほしい」、つまらない時は、「相手をしてほしい」、自信を失ったときは「自分を褒めてほしい」など。
その依存心が、相手への期待となり、その通りにしてもらわないと怒ったり、傷ついたりして、関係を壊してしまうのです。

“自分で自分を幸せにできない人”にとっては、相手の存在が必要で、極端な言い方をすると、「自分が幸せになるために、相手を利用しよう」としてしまうところも。だから、相手を自分の思い通りにコントロールしようとしたり、干渉したりして、関係を悪くしてしまうのです。
自立することは、人として「誰もが到達すべき成長」といっても過言ではありません。でも高齢者になってもできていなくて、問題を起こしてしまう人は意外といます。そういう人は、自分の子供に必要以上に依存をしてしまい、親子関係を悪化させてしまっているのです。

逆を言えば、「自立する大切さ」を理解している者同士が、パートナーとの関係をうまくいかせる方法として「別々に暮らすこと」を選択するのは、”自然の流れ”だとも言えます。むしろ”従来の結婚のスタイル”で夫婦関係を良好にするのは、意外と難しいことなのかもしれません。

別居婚を選ぶ理由4:夫婦で「住みたい場所」が違うから


夫婦で住みたい場所が違うこともあるでしょう。例えば、妻は「都会での生活」が好きだとしても、夫は毎朝、サーフィンができるくらい、海が近くにある家に住みたくなることだってあります。そうなったときに、お互いに一緒に住むことにこだわってしまうと、どちらかが我慢することも出てくるでしょう。

特に現代は、リモートワークが増え、必ずしもオフィスで仕事をする必要がなくなってきました。だから、どこにでも住みやすくなった分、今後、「自分の好みの場所で生活したい」という人は増えていくもの。
夫婦で住みたい場所が違うときは、休日だけ一緒に過ごし、普段は別々に暮らすという方法にしたほうが、お互いに気分よく過ごせることもあるのです。

別居婚を選ぶ理由5:”イイトコドリ”の夫婦関係だから


「一緒に住まないなら、わざわざ結婚しなくてもいいんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。でも人は、「ただ一緒に暮らすために夫婦になる」わけではありません。結婚は、「生涯、お互いを”パートナー”として共に生きる」ことの誓いであり、その安心感と信頼感が2人の絆と愛情を深めることもあるものです。

現代は、一昔前と違って、よほど格式の高い家系でない限り、「家を守るためだけに結婚する人」は減ってきました。さらに、ただ「子供を作るため」でもなければ、「養ってくれる相手を確保するため」に結婚するわけでもないのです。お互いに愛情を持って「人生を共に歩みたい」と思うから、結婚するのです。
逆に、その気持ちがなく、ただ「子供が欲しいから」「養ってほしいから」といった理由で結婚した場合は、うまくいかないことは多いでしょう。愛がないですしね。

人は、やはり「家族」という、他の人とは違う”特別の存在”がいると、心の支えになり心強いもの。「別居婚」は、その精神的な安心感は手に入れられ、生活面での不自由さは減らせる、”イイトコドリ”の夫婦関係だと言えるかもしれません。

問題:子供ができたときは、どうするのか


「別居婚」をするにあたり、一番の問題は、「子供ができたときにどうするのか」です。ただ、これについても、個人差はあります。「家族一緒に住むほうがいい」という夫婦もいれば、「近所に住んでいるのであれば、問題ない」という夫婦もいるでしょう。

例えば、私の友人は2人の男児がいる4人家族なのですが、彼女は、「夫が単身赴任だったときのほうが、”世話のかかる人”が1人減って楽だった」と言っていました(笑)。つまり、それくらい精神的に自立した妻であれば、夫が近所に住んでいたり、同じマンション内で別々の部屋で暮らしていたりするほうが、快適なところもあるのかもしれません。

男女ともに自立した人が増え、さらに1人でも生きやすい世の中になった現代は、自ら独身で生きていくことを選ぶ人も増えてきました。そういう人は、「誰かと一緒に住むこと」にわずらわしさを感じている人も少なくありません。
だから、もしそういう人に、「結婚したい」と思える相手が現れたときは、無理して”従来の結婚”にこだわる必要なく、”自分たちの合う結婚の形”を作ったほうがいいもの。その選択肢の1つに「別居婚」があるのです。
どうせ結婚するなら、”夫婦が幸せになれる生活スタイル”を築きたいものですね。

【漫画】別居婚を選んだ夫婦
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