ニューヨークで勤務する山田悠史医師に、コロナ禍における医師の働き方について聞きました。

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【質問】コロナ禍で診療の現場はどのように変わりましたか?


これは本当に日々の変化が大きいところです。

内科医の仕事は大きく、外来業務、入院病棟業務、そして検査業務と分けられます。外来というのは、風邪をひいたなどの理由で通院してくる患者さんの診察をする場所です。クリニックのイメージをしていただくと分かりやすいのですが、そこでの仕事は全て外来業務になります。

一方、入院病棟業務は、文字通りですが入院している患者さんの診療をすること。また、医師によっては内視鏡検査や心臓カテーテル検査など検査業務を行っている時間もあります。

ここでは、私の働いている時間を最も長く占める、入院業務を行うときの流れを説明したいと思います。

入院患者さんを受け持つ日の朝は、まず電子カルテで夜間に起こったことの情報を拾いつつ、具合の悪い患者さんから順に確認していきます。

その後、朝8時頃からチームで集まって、皆で患者さんの治療方針などの話し合いをします。これを「回診」といって患者さんのもとを訪れながら行っていくのが以前の一般的な診療スタイルでした。しかし、コロナ禍でそれを取りやめた医療機関も多いかもしれません。今では、Zoomなどを使って会議を開き、一人一人が患者さんから聴取した話や診察結果、検査結果などを共有しながら、診断が正しいか、治療方針がこれで良いかなどの話し合いをしているところも珍しくないでしょう。家族会議や医師同士のレクチャーもZoomなどで行うことが増えたので、オンラインツールは本当に手放せなくなりましたね。

ただ、ニューヨークの私の病院では、今も人数を少なくして「回診」をやっています。また、新型コロナウイルス感染の患者さんの病室には、医学生さんなどは入室せず、ごく限られた1~2名が入室して診察するという方法をとっています。

新型コロナウイルスの患者さんのみの診療にあたる医師の場合、診察中は常に防護具を着たままの状態になりますし、他の患者さんの診察もする場合には、その病室や病棟でだけ防護具を身につけて、出るときにそれを脱ぎ、よく手洗いをしてから退室という形になります。この出入りだけでかなりの時間を要するので、タイムマネジメントという意味ではなかなか大変です。

また、患者さんはマスク、こちら側はマスクにフェイスシールドも装着の上での診察となりますので、特に特徴的なアクセントを持つ人が多いニューヨークではお互いの英語がますます聞き取りづらく、互いに大声で叫び合うなど、フラストレーションを抱える場面も少なくありません。

また、診察室内では、聴診器なども病室専用のものを使う必要があるため、これまでならスムーズにできていたことも、厳格な感染対策のために一つひとつの作業に時間がかかります。多くの医療者がストレスを感じるところかもしれません。流石にもう数ヵ月が経過したので、今はそれが「普通」になりましたが、昨春にはそういった様々な変化で、目に見えないストレスを感じていたのを思い出します。

明日に続きます。

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