30代の独身女性にとって、人によっては重くのしかかる“結婚”という文字。Kissで連載中の『幸子、生きてます』の主人公・金子幸子は33歳独身で、絶賛婚活中。でも、なかなか思うようにはいかない日々を過ごしています。幸子の真実の愛は果たして見つかるのでしょうか?

金子幸子33歳は、埼玉にも近い東京都X市で働く公務員。主に住宅と畑が広がるだけの存在感の薄い市で、真面目に働いています。過去に一度、結婚を約束した人と別れてから5年が経ち、婚活に励む幸子。でも、とある婚活パーティーで出会った男性に中古の欠陥マンションを買わされた、というすごい経験の持ち主でもあります。

『幸子、生きてます』(1)柘植文 #金も幸も子もないものですから… P4より

本人は傾きのある床を利用してお団子を丸めたり、自然にあいてしまう部屋のドアを活用して、「おかえりなさい!」と一人で結婚シミュレーションをしたりと、なんだかんだと欠陥マンションともうまくつきあっているようです。

 

一人でも生きられる女性になろうと大学に行き、手堅く公務員になった幸子ですが、ある日曜の昼下がりに素人さんが参加する歌番組を見ていました。広瀬香美の「ロマンスの神様」を熱唱しかけて即不合格の鐘を喰らうエプロン姿の主婦をダサいと思いつつも、夫や子ども、親戚一同に応援される様子を見て、羨ましいという気持ちに苛まれます。

『幸子、生きてます』(1)柘植文 #金も幸も子もないものですから… P7より

またある日は、35年ローンで買った中古欠陥マンションのトイレットペーパーホルダーの位置が妙に低い現実に気づき、心が弱くなった時にそのことで胸が締め付けられます。

『幸子、生きてます』(1)柘植文 #幸子のエスポワール P10より

「金も幸も子もないものですから……」と基本自虐な幸子ですが、なんだかんだと楽しそうに生きているように見えます。小さな不幸があったり、心が凹んだりした時も、周囲には幸子さんのボヤキを受け止めてツッコミを入れてくれる人がたくさんいます。時には元カレとの幸せだった頃を思い出して切なくなる幸子ですが、「いや、そのカレと別れてよかったんじゃない?」とツッコミを入れたくなるような相手だったりもします(欠陥マンションを売りつけた男性とは付き合ってもいなかったそうです)。

職場の上司や同僚、窓口に来る市民、高校時代の友人、婚活で出会った男性など、みんな個性派揃い。幸子との会話や言動がシュールでいちいち面白く、ページをめくるたびにププッと吹き出してしまいます。幸子が不幸を嘆けば嘆くほどに笑えてしまうのですが、幸子は打たれ強いというか、どんなことも前向きにとらえていて、傍から見ればそこそこ楽しそうで、雑草のようなたくましさも感じられます。テンポのいい小咄のようなので、疲れた時にサクッと読んで元気をもらうのにぴったり。一度読むと、幸子のシュールな笑いにハマります! 4月13日には3巻も発売され、全巻を手元において何度も読み返したくなるはず。

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『幸子、生きてます』
柘植文 講談社

金子幸子、33才独身。市役所勤めで金ナシ、幸ナシ、子ナシ、男運ナシ。 幸子さんは毎日、最近あった小さな不幸を嘆いているけれど、なぜだかいつも楽しそう。 シュールだけれどくすっと笑っちゃう、超個性的な市役所ヒロイン・幸子の生き様、ご覧あれ!