コロナ危機で仕事を失ったり、賃金が大幅に低下していることから、住宅ローンの返済に苦慮する人が増えているようです。金融機関から返済猶予などの救済措置を受けた人は、東日本大震災当時の5倍に達しているそうです。

 

コロナ危機は当分、続きますし、特に日本の場合、ワクチン接種が遅れているという致命的な問題があります。完全終息と経済の回復は諸外国よりも遅くなりそうですから、今、問題なく返済できている人も、イザという時に備えておいた方がよいでしょう。これから住宅ローンを組むという人は、返済計画に問題はないのか、もう一度、よく確認してください。

日本の住宅ローンは、個人にすべての返済責任を負わせる過酷な仕組みとなっており、返済できずに家を手放しても、残額がある場合、完済するまで返済を続けなければなりません。一方、米国の住宅ローンは、個人ではなく家に対して実施されますから、失業や年収低下で返済できなくなった場合には、銀行に家を渡してしまえば、それでおしまいです。

家を手放しても返済に追われる日本の制度を米国人に説明すると、皆、ビックリした顔をしますが、日本の場合には他に選択肢がありません。日本の住宅ローンが圧倒的に銀行側に有利で、債務者に不利な制度になっているのは、欧米と比較して住宅の品質が著しく低く、30年もすると建物の価値が毀損するといった物理的な事情もあるのですが、「どんな条件でも良いから、家が欲しい」という日本人のマインドが大きく影響しているのは間違いないでしょう。

現実問題として、一度、ローンを抱えてしまった場合、完済するまで解放されない制度ですから、何らかの経済危機が発生すると、一部のローン利用者は深刻な事態に陥ります。

住宅ローンは銀行が提供しており、銀行も商売ですから、もし返済が困難になった場合でも、ある程度までなら返済猶予に応じてくれます。返済猶予には、返済期間の延長、一時的な元金支払い停止などの複数の方法がありますが、もっとも多いのは後者(一時的な元金支払い停止)でしょう。

この方法を使った場合、元金の返済がなくなる分、月々の返済額は大きく減りますから、この間に生活を立て直し、元金の返済ができるようにしなければなりません。銀行もいつまでも待ってくれるわけではありませんから、猶予期間が過ぎても状況が改善しない場合、家を売却するといった措置が必要になることもあります。

 
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