おひとりさまでも、お金がなくても、在宅死は実現できる

「最期は自宅で死にたい」。看取りのプロが教える、幸せな在宅死の迎え方_img2
 

何よりもお金のことが心配だという方もいらっしゃるかもしれません。でも安心してください。お金の面でも、制度をしっかり使えば、ひとりでもちゃんと生きていかれるようになっています。「貯金なんてほとんどないよ」というおひとりさまでも、在宅死は可能です。

 

自治体によって違いはあるものの、生活保護の方でも在宅医療は受けられます。生活保護では家賃も決められていますから、豪勢なところに住むのは無理ですが、そうした制約を受け入れられさえすれば、逆に限界はないと言ってもいいくらいかもしれません。生活保護の受給者になるのには心理的に抵抗を感じるという方もいらっしゃるかもしれませんが、国が国民の権利として保証している制度ですから、ためらいを感じる必要はまったくないと、わたし自身は思っています。

そこもやはり「何を大切にして最期を過ごしたいか」という、ご本人の価値観と選択なのです。

またご家族の側からすると、「親の介護をするまでのお金はないな」という心配もあるでしょう。そうした場合にも、生活保護を利用する方法はあります。たとえば、世帯分離の手続きをすると、たとえ同居していたとしてもご本人には収入がないことになりますから、受給が可能になります。「自分に収入があるのに、親を生保にするなんて」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、法律でも、子どもが親を扶養する義務には、親が子どもを扶養する義務ほどの強い強制力はありません。ですから介護する側に収入があっても、親を養えるほど余裕がない場合には、生活保護を申請できるのです。

メディアでもさんざん老後のお金の不安を煽っていますが、お金のことは正直なところ、どうにでもなります。制度をしっかり利用できれば、ひとり暮らしでも十分ケアが受けられて、ご自宅で最期を迎えられるのです。