一部の商品やサービスは密度の濃いコミュニケーションが必要かもしれませんが、世の中で取引されている商品のほとんどは、価格、スペック、納期の3つでほぼ決まってしまいます。商談の多くはネットに移行可能であり、コロナ危機はその現実を証明してしまいました。
加えて言うと、コストというのは単に交通費など目に見えるものだけではありません。時間の無駄が社員にもたらしていた潜在的なマイナス面などを数値化すると、その金額は極めて大きなものとなります。
遠隔ならではの欠点もありますが、人類の歴史上、技術によって圧倒的な低コストや利便性が実現できた場合、その流れに逆らってうまくいったためしはありません。しかも、低コスト化で余裕が出来ると、その欠点を改善するための投資に充当できますから、遠隔による欠点も年を追うごとに改善されていく可能性が高いでしょう。
遠隔を基本としたビジネススタイルの方が、時間を効率的に使うことができ、結果として低コストになる以上、社会は確実にその方向に流れていきます。一方で、人と会わなければ実現不可能な仕事や、現場に行くことが求められる仕事については、その価値が再認識されますから、むしろ賃金は上昇していくでしょう。
家で家族と過ごす時間が増えると、消費の幅が広がり経済全体にもよい影響を与えますから、最終的にはビジネス機会の拡大と賃金という形で私たちの利益にもつながっていきます。
今、世界各国は次世代を見据えたデジタル化投資に邁進していますが、それは、コロナ危機によって新しい時代がより早く到来すると予想されているからです。もしそうであるならば、以前の生活には戻りたくないという感覚をもっとポジティブに捉え、ビジネスのあり方や生活スタイルの見直しを進めるよいきっかけにすべきだと筆者は考えます。
飲食店ひとつとっても、今は大変な時期だと思いますが、コロナ後には、本当に価値のある時間と空間を提供できた飲食店は、従来以上に大きな利益を上げられるのではないでしょうか。
前回記事「自治体トップのワクチン優先接種は本当に「やむなし」なのか 」はこちら>>
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