出産後にやっと彼の母と対面


一人きりの妊娠生活。悪阻で食べられない、切迫流産でろくに動けず、極め付けはぎっくり腰。次から次へと襲ってくる妊娠トラブル。パニック障害と鬱病を患う彼女には耐え難いことばかりです。

しかしCさんが混乱すると相手は不機嫌になるので「ダメだ。彼の機嫌を損ねてしまったら私は独りになってしまう」とさらに我慢を重ねるCさん。

一人きりで孤独に耐えられるほど妊娠期間は短くありません。ある夜、我慢できず彼女は女友達に会いに行き家を空けます。なぜ今まで外部へ助けを求めなかったのか。きっとなんとなくわかっていたからでしょう。彼女が夜、家を空けたことが彼にバレたとき、それが始まってしまうことを。

夜中、外出したことが知られたとき、彼はCさんに言い放ちました。

「子どもが生まれたら俺が引き取る。お前は出ていけ、そしてなるべく離れた場所に行け」

“子どもは俺のもの。産んだらお前は用無しだ”という宣戦布告です。

 

現状、籍も入っておらず、まだ生まれてもいない赤ちゃんは認知もされていない。彼が親権を得る方法はなく、上記のセリフはただのこけおどし。しかし何度も言うように、Cさんはそんなことを冷静に判断できる心身の状態ではありません。

 

彼女が怯んだのをいいことに彼は恩着せがましく言いました。「もし元気に生まれたらしばらくはお前のところで子どもを育てさせてやるから」と。

その言葉に一縷の望みをかけて一人出産に臨み、無事、女の子を出産。やっと安心して彼に連絡したところ、彼は「お袋に一番最初に抱かせてやってくれ、俺はその次に行く」と言いました。そして出産してすぐ彼の母親との初対面……。

退院後、彼とその母は交互にCさん宅を訪問してくるようになります。同じ時間には決して来ず、時間をずらして赤ん坊を見にくる二人。そして二人とも見てるだけ。「精神を安定させろ」と漢方薬は買ってくるのに、現金は出さず認知もしない。出産後の傷んだ体で、寝る時間を削って行う新生児育児、せめて少しでも手伝ってもらえたらと思うも「あ、お構いなく、邪魔しないから好きにやって」と、二人はどちらも手を貸さない。

かといっておっぱいをあげようとするとミルクにしろと文句は言う。生活保護でお金がなく、出るものはなんでも使いたいのに母乳さえ許されない。外気浴をすすめられたからベビーカーを用意したいといえば「犬に噛まれたらどうするんだ」と嫌がり、肌着を買いたくても「お袋に選ばせてくれ、お前は自分の立場を考えろ」と許可が降りない。

二人がいる家にどんどん居づらくなったCさん。二人が来ている時は家を開けるようにして気持ちを落ち着かせようとしますが、しかし産後1カ月も経ってもいない体です。ゆっくり外出することなど到底無理。立って歩くにも骨盤が軋み、会陰も痛む。Cさんに必要なのは心の底からの休息でした。

しかし最初は優しかったはずの彼は、気付いたらいつの間にか支配と加害の気持ちよさに目覚めてしまっていたようでした。

(次回につづく)

前回記事「DVサバイバーのソーシャルライターが解説。「子の連れ去り」という言葉が乱用されている本当の理由」はこちら>>

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