吉高由里子さん主演でドラマ化され話題となった東村アキコさんの『東京タラレバ娘』。その「シーズン2」5巻が6月11日に発売されました。今度の「東京タラレバ娘」はギリギリ昭和生まれの30歳!

前作で3人いたタラレバ娘は、今回は1人。職業も、吉高由里子さん演じる倫子がドラマ脚本家だったのに対し、本作の主人公はフリーターとだいぶ様相が変わっています。

そんなシーズン2は、「令和」の年号が発表された2019年5月からはじまります。

 

「1文字入ってんじゃん……」。新元号発表の瞬間を街で知った主人公の令菜は、自分の名前と新元号がリンクしているとつぶやく。東京出身で実家暮らしの30歳、ギリギリ昭和生まれの彼女は、衣食住に不自由することなく、就活はしてみたけど「なんかハマらなくて」という理由でフリーターを続けています。
立ち仕事もしんどくなってきたから、一日中座っていられる仕事はないかな、と探して見つけた図書館での司書(パート)の仕事に就いたばかり。

なんだかんだで、もしかしてわたしってけっこう幸せなのかも、と思えるぬるま湯のような日々。彼氏はいないけど。

そんな彼女の「タラレバ」は⋯⋯ 

学生の時の彼と続いて「タラ」、20代のうちに誰かと結婚して「レバ」。

そんな令菜だが、小学生の頃に埋めたタイムカプセルを掘り起こすという同窓会の手紙を受け取ったことで、あることに気づいてしまうのでした。

その「あること」をぼーっと職場の図書館で考えていると、同僚の昭子さんに「彼氏いる?」「お酒は飲める?」と2つの質問をいきなり訊かれます。答えるやいなや、とある場所に連れていかれます。

タイプの違うイケメンバーテンダー達がお出迎え!

ドアを開けると、そこはイケメンばかりのバー! しかも、名前が全員「よしお」。呼ぶ時には「よしお10号」のように名前の後に号数をつけるらしい。なんなんだ、この店は!?

とまどいつつも、令菜は彼らにカクテルを作ってもらい、「あること」の話を昭子さんとイケメンたちに打ち明ける。
「私の夢 何て書いたのか全く思い出せなくて」

タイムカプセルに入れた「私の夢」がどうしても思い出せなかった令菜。

タイムカプセルの件をきっかけに、この歳まで、夢や人生の目標について考えてこなかったことを自覚してしまった。そう語ると、「オーナーの前ではそんな話をしない方がいいかな」と昭子さんが助言する。そのワケはオーナー兼店長の「よしお1号」に出会うと、すぐにわかるのでした。

よしお1号は、ちょっと昭和のソース顔イケメンといった雰囲気。

このよしお1号に、令菜はある質問を投げかけられます。その内容は…1話の最後に!

シーズン1の倫子は、タラレバ言いながらも「2020年の東京オリンピックイヤーまでには結婚したい」と願っていました。ですが、今回のシーズン2の令菜は「何年後にこんな風になっていたい」という目標すら立てられずに、ただ毎日をぬるーく生きています。本人いわく「味気ない人生」。
読み比べてみると、シーズン1は30代後半〜40代、シーズン2は20代後半〜30代前半くらいの女性達のムードを切り取っているようで、世代の違いを感じます。

令菜は、何かが欲しい! という強い欲望がないタイプで、仕事にも積極的でなく、無気力にも見えますが、ほんとは何も欲しくないわけではないのです。

どうやったら私の夢、掘り返せる? 私がなりたかったもの、したかったことって何?

彼女はよしお達に出会った後、自分の夢について思い出すチャンスを得ます。それは現在の令菜にとっては意外なものだったのですが、よしお1号にはこう言われるのです。
「君は今日からその夢のおかげで頑張れる」

「たいしたことじゃなかった」という令菜に、よしお1号は「素晴らしい夢」だと言う。

どうやら、『東京タラレバ娘  シーズン2』では「人生の夢」がキーワードになっていくようです。
味気ない人生を送っていた令和のタラレバ娘が、夢を思い出したことでどう変わっていくのか?そして、よしお達との関係はどうなっていくのでしょうか?
そんなストーリー展開も楽しみつつ、シーズン1との「世代のムードの違い」も感じ取ってみてくださいね。
 


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『東京タラレバ娘 シーズン2』
著者:東村アキコ
講談社

廣田令菜30歳、フリーター。 夢や人生の目標もなく、彼氏も好きな人もいない日々を送っていたが、 元号が変わったとともに、夢を探して孤軍奮闘することに…‼ 令和という時代に、東京という都会で生きる 30代・40代の女性の夢とリアルを描く大人気シリーズ最新作‼

作者プロフィール:
東村アキコ

1975年、宮崎県生まれ。1999年にデビューし、2010年に『海月姫』で講談社漫画賞、2015年に『かくかくしかじか』でマンガ大賞を受賞。『東京タラレバ娘』シリーズ、『雪花の虎』、『ハイパーミディ 中島ハルコ』(原作:林真理子)、『美食探偵 明智五郎』、『偽装不倫』など人気作を発表し続けており、その多くがドラマ化。2019年『偽装不倫』で韓国のウェブ漫画市場に進出。漫画業界のアカデミー賞とも呼ばれるアメリカ「2019アイズナー・アワード」の最優秀アジア作品賞(『東京タラレバ娘』)など受賞歴多数。


構成/大槻由実子