フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

「走らないで」→「歩こうね」否定語と肯定語で伝わり方が変わる。その効果とは?_img0
 


「走らないで」より「歩こうね」


以前、「戦争に反対はしません」という書き出しのブログを読んだことがあります。
驚きながら読み進めてみると、その真意は、なるほど、と目から鱗のお話でした。
意識的なのか無意識なのか、あまりに誤解を招きかねない言葉で始まってはいますが……。

 

そこから気がついた私の解釈ですが、もし戦争をなくしたいなら、「戦争反対」と唱えるよりも、「平和を願う」と言った方がいい。なぜなら、後に否定していても、戦争という言葉を使った時点で、まずそこに意識が向いてしまうから。だから、平和を願うなら、平和に意識を向けさせるために、平和という言葉を使う方がいい。
言葉をそのまま絵に置き換えてみると、武器などの上に×をしている絵と、ユートピアなど平和な世界そのものの絵。どちらが望ましいか、どちらが本当に心に思い描いているものなのかは一目瞭然ですよね。

先日、保育士が実践している「否定語から肯定語への置き換え」を友人がSNSに投稿していました。

「走らないで」の代わりに、「歩こうね」。
「登らないで」の代わりに、「降りようね」。
「手を離さないで」の代わりに、「手を繋ごうね」。

いくら「〜しないで」と後付けしても、やってはいけないことの方に、それこそ無意識に意識が向いてしまいそうです。むしろ、子どもの場合は面白がっちゃって逆効果、なんてことも起きそうです。
同じ意味のようでいて、肯定語か、否定語か、では結果がかなり異なってくるのですね。
何より肯定語は、言葉が優しいなぁ、と癒されました。

伝えたいこと、やって欲しいことをそのまま伝える。
それはダメ!と“否定される”より、こうしてみようか、と“提案される方”が、前向きになれる。
同時に、それはダメ!と“否定する”より、こうしてみようか、と“提案する方”が、前向きになれる。
肯定語は、受ける側だけでなく、伝える側にも、良い影響を与えそうです。

優しい言葉の数々にほっこりしながら、大人同士でも大切にしていきたい心がけだと、改めて感じました。


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