「人に迷惑をかけるな」は健全な考えではない!?

 

「人に迷惑をかけてはいけませんよ」

子どもに対してほとんどの親が言っているに違いないこの言葉。実は、これこそが最初にやめたい声かけです。

誰にも迷惑をかけず、誰の手も借りずに生きている人なんていないからです。「迷惑をかけないで生きる」ということは、ほとんど「生きていない」のと同じだと思います。生きていればいろいろな失敗をすることはあります。人間誰しも間違うことはあるし、それを周りの人にフォローしてもらったり、助けられたりしながら生きています。もっと言えば、生活をしていればゴミも出すし水を使うし、二酸化炭素を吐き出しているのです。他人に迷惑をかけるなんて当たり前。完全になくすなんて無理な話です。

 

それなら、「人に迷惑をかけて助けてもらった分、誰かにお返ししていこう」と考えるほうが健全です。

「人に迷惑をかけてはいけない」と思い込む最大のデメリットは、「人に助けを求められなくなる」ことです。何か困ったことがあっても、助けを求めれば迷惑をかけることになる。だから自分1人でなんとかしようとしてしまうのです。

生活保護にしても、「貧しいのは、頑張っていない本人のせいだ」と自己責任論を掲げる声もあり、経済的に困窮した人たちのなかには、生活保護の受給になかなか踏み切れない方もいます。自分の行動が社会的に迷惑になると考え、助けを求めることができないのです。