ミモレでは2021年に公開されたインタビューのうち、特に人気があった記事をご紹介します。よろしければぜひお楽しみください。元記事は8月21日に公開されたもので、作品の情報等は公開当時のものです。
キャリアの初期から「一定の場所にとどまらないこと」を意識してきたという俳優・岡田将生さん。「どうしても”等身大”の役が多かった」と語る10~20代の頃、それでも『告白』『悪人』など、多くのチャレンジングな役をご自身で選んできたといいますが、30代を迎えたここ数年は少しずつ変化を感じているようです。最新映画『ドライブ・マイ・カー』で演じるのは、西島秀俊さん演じる主人公、演出家・家福(かふく)の人生を揺さぶり続ける不穏な俳優・高槻(たかつき)役。監督も共演者も大絶賛のその演技は、今年上半期に話題となったドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』とともに、岡田さんのキャリアの最重要作品となりそうです。
正解が見つからず、現場は毎日不安でした
最新作『ドライブ・マイ・カー』が描くのは、妻を亡くした主人公・家福の「一見平穏な日常の裏で、決定的に壊れた人生」。岡田さんが演じる高槻は妻の後輩の俳優で、家福の「壊れた人生」の一端に関わっている、どこか悪魔的な男です。
「『ドライブ・マイ・カー』の脚本を手にしたのは地方ロケの最中で、ちょうど車の中で読んだんです。濱口竜介監督とは一緒にお仕事がしたいと思っていましたし、面白いめぐり合わせで、出会えたことが奇跡のように感じました。描かれている“喪失と再生”というテーマも素晴らしいし、原作でも触れられている演劇『ワーニャ伯父さん』を映画の内容に交錯させているのも、すごく面白かったです。俳優が俳優の役をやるのってすごく難しいんですが、西島さんがどう演じるか分かっていない段階で、この役をどう演じるかを考えるのはすごく楽しかったです」
振り返って今は「この役と出会い演じられたことは自分の中ですごく大きなこと」と答える岡田さんですが、脚本の面白さに興奮した後は「この役をどう演じるか」で、ずいぶん頭を悩ませたようです。
「役作りは割と苦悩するタイプなんですが、プロデューサーや監督と一緒に、少しずつ “正解のようなもの”を見つけていく過程がこの仕事の醍醐味だし、道が一筋できたなと思えればとりあえずは安心できます。でもこの役に関しては一切そういうものが見つからず、現場では本当に毎日不安でした。ただ“高槻は善か、悪か”という問いの答えは観客に委ねよう、そう思いながら毎日撮影させてもらっていました」
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