もはや説明の必要がないくらい普及した「毒親」という言葉。子供の人格を無視して一方的に自らの価値観を押しつけ、その人生を支配しようとする親を意味しますが、こうやって定義されることで心が救われたという毒親育ちの人も多いのではないでしょうか。

でもいざ毒親の支配から逃れようとしても、本やドラマが指南するほど簡単にはいかないというのが現実かもしれません。その難しさやもどかしさを克明につづったのが、まきりえこさんによるコミックエッセイ『実家が放してくれません』です。毒親である母の支配に苦しむ主人公・アサさんを通して映し出されるその精神世界はとても複雑で、毒親に育てられた人でなくても胸が締めつけられるでしょう。しかし同時に、自己肯定感が低いなりに社会に溶け込み、自分は毒親になるまいと子育てに奮闘しているアサさんの姿に励まされる人も多いのではないでしょうか。

今回は、思わず手に汗握ってページをめくってしまうその中身の一部をご紹介します。

ある日、足の怪我で家事がままならなくなったアサさんを助けようと、夫のエイトくんは自分の母親に応援を要請します。実母の影におびえる彼女とっては、なにかと気を遣うことを差し引いてもお姑さんは非常にありがたい存在なのでした。

 

明るく世話好きなお姑さんは、アサさんに代わってテキパキと家事をこなしてくれました。そして、お姑さんの何気ない行動に、アサさんが恋焦がれてやまなかった「普通のお母さん」を感じてしまうのでした。

 

怪我が治り穏やかな日々が続くなか、アサさんは待望の第一子を懐妊します。夫は手放しで喜んでくれますが、「普通のお母さん」を知らずに育ったアサさんの心境は複雑でした。

 

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©Rieko Maki 2021,Printed in Japan