フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。
アナウンサーは何でも喋るのが得意、と思っている方は多いと思いますが、アナウンサーの集まりでする司会やスピーチなんて、地獄です(笑)。
また、一口に喋ると言っても、原稿を読むのか、フリートークか。軽妙な話術か、沁みる言葉か。など、色々あります。
ただ一つ確かなのは、喋りの名人は、○○節と呼ばれるような名調子や、独特の話術があることが多いこと。○○節とまでいかなくても、「らしい」喋り、「らしい」会話などと認められている人は結構いますよね。
私はというと、若い頃からアナウンサーとしても個性がないと言われ(苦笑)、もちろんそれを良いことと評価してくれる方もゼロではなかったのですが、珍しく「ばばちゃんらしいね」などと言われる時は大抵、食い意地に関することでした。
個人的に、ラジオのパーソナリティといえば、テレビ以上に、話術でもってリスナーを引き込んでいく、というイメージが強いです。
10月からTBSラジオのレギュラーがスタートしたこともあり、自分らしいって何だろうなぁ?ということを、久しぶりに考えています。
「GIFT〜未来への贈り物〜」は、私が喋るよりも、ゲストの話を伺うことがメインの番組なので、目下のテーマは「相槌」です。
これはテレビでも同じなのですが、マイクはちょっとした声も拾うため、普段と同じように相槌を打っていると耳障りになってしまいます。
でも無反応だと相手が話しづらいので、頷く、目を見る、微笑む、などのリアクションで応えます。
テレビではたまに、そんなインタビュアーの表情を合間に挟み込んだり、画面を分割したりして、視聴者に見せてくれます。
ところが、音だけのラジオの場合、黙って頷いているだけでは、リスナーには届かない。
相手の話を邪魔しないように、でも、ある程度声を出さないと私は居ないも同然になってしまう……。
なんて悩みを、先日、大阪芸術大学の授業でも話しました。
「ばばちゃん節」なんて高望みしません。
「らしい」ですら、私の場合はきっともっとずっと先のことですね。
そして、それらはもしかしたら、自分が意図して掴むばかりではなく、日々の積み重ねの先に、誰かが気づいてくれる、感じてくれる、ということもあるのかもしれないですね。
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