フリーアナウンサー馬場典子が気持ちが伝わる、きっともっと言葉が好きになる“言葉づかい”のヒントをお届けします。

 

先週、2021年グッドデザイン賞大賞選出会の司会を務めさせていただきました。
応募総数5,835件の中から見事2021年度の大賞に選ばれたのは、「分身ロボットカフェDAWN ver.βと 分身ロボットOriHime」でした。

 

OriHime(オリヒメ)は、人と人、人と社会をつないでくれるロボットで、病気や障害、年齢や育児や介護などが理由で外出が難しい人たちも、働く喜び、人の役に立てる喜び、社会に出られる喜びを得られるもの。
DAWN ver.β(ドーン バージョンベータ)は、そんな方たちがOriHimeの「パイロット」として、接客するカフェです。

受賞された株式会社オリィ研究所の吉藤オリィさん自身の、病気がちでなかなか学校に行けなかった子ども時代が、原点となっているそうです。
当日も、「今日は体調が良く、来ることが出来て良かったのですが」と仰っていました。
そして、「世の中のほとんどが、身体が動くことを前提としてデザインされている」とも。

吉藤オリィさんと。OriHimeもポーズを決めてます! この日のパイロットは、まさとさんでした。

プレゼンテーションだけでなく、記者からの質問に対するお答えも、説得力のある言葉やエピソードに溢れていて、「自分の言葉」を持っている方でした。
誰もが、オリィさんの強く深い想いや、目指す未来の温もりを感じられるものでした。

アナウンサーとしても、人としても、未熟だった新人時代に、指摘されたことを今でも覚えています。

「あなたは、話すことに自信がある時とそうでない時がすぐに分かる。自信がある時はちゃんと声が出ているし、ちゃんと伝わる」。

もちろんアナウンサーとしては、技術を磨いていくことも大切なのですが、
「伝えたいこと」と「伝えたいという思い」があれば、自ずと言葉に心が宿り、声に力もこもり、相手に伝わる。
ということを、初めて自覚しました。

拙著『ことたま』を執筆した時には、そんな風に、声や言葉に心が映し出される様子を、心根に掛けて、「心音」なんて造語を考えたほど、「心」のあり方は、私にとって、伝え手としての原点です。

オリィさんのお話は、心動かされると同時に、初心に返る出来事でもありました。
 

馬場典子のフォトギャラリー
▼右にスワイプしてください▼


前回記事「眞子さんと佳子さま。皇室にまつわる言葉の話」>>