友だちづきあいは積極的な方で、会社の人間関係もまあまあ上手くやれている。でも、毎日誰かとランチに行くのは疲れるし、会議で発言できなかったことを悩むこともしばしば。そんな状態に心当たりがある人は、もしかすると「隠れ内向」かも……?
生来、内向型の性質を持っているにもかかわらず、あたかも外向型のように振る舞うことで社会に適応してきた人たちを、心理学博士の榎本博明さんは「隠れ内向」と名づけました。明るい笑顔の裏で過剰な疲れを溜め込んでしまう「隠れ内向」の人たちが、本来持つ内向型の性格を強みに変えていくためのヒントとは――? 榎本さんの著書『何でもないことで心が疲れる人のための本 「隠れ内向」とつきあう心理学』から、特別に一部抜粋してご紹介します。
その心の疲れはどこから?
仕事帰りに職場の同僚たちと飲みに行くことがあり、そういう場はけっこう楽しんでいるつもりなのに、何となく疲れる。そんなことはありませんか。
最近では、在宅勤務が増え、職場の人たちと食事したり飲みに行ったりすることがなくなりストレスが溜まるという人がいる一方で、そうしたつきあいがなくなってむしろホッとしているという人もいます。
飲み会や懇親会、大勢が集まる社交の場がどうしても苦手というのは、よくあることです。初対面の人やよく知らない人が一緒の場では、どんなことを話せばよいのだろう、どんな態度をとるのが無難だろうかなどと迷い、気をつかって疲れるものです。
でも、職場の同僚とか近所の友だちのような気心の知れた仲間との飲み会なら、本来そこまで気をつかうこともなく楽しめるはずです。それなのに、帰り道、ひとりになると、ぐったり疲れ気味の自分がいる。楽しい時間を過ごしていたはずなのに、なぜか疲れている。
友だちとの旅行。とてもワクワクするし、一緒の部屋に泊まってずっと話せるのは楽しいのだけど、それが何日か続くと、さすがにちょっと疲れてきて、家に帰りつくとホッとする。
帰り道の電車の中や、深夜寝床に就いたときなどに、昼間の自分の発言を振り返って、「あの人を傷つけたりしなかったかな」「『一緒にいても楽しくない』と思われなかったかな」「呆れられなかったかな」「もっとやさしい言い方をすべきだったな」などと反省したり、後悔し自己嫌悪したり。
そうしたことがあると、自分は友だちにもそんなに気をつかっているのだろうか、もしかしたら人づきあいに疲れるタイプなのだろうか、といった疑問が湧いてきます。
このような疲れには、「内向的な性向」が絡んでいると思われます。
「私は、けっしておとなしい人間じゃないし、友だちとも積極的につきあっているし、職場での人づきあいも悪くない。『内向型』ではないはず」
そう思うかもしれません。
そんなあなたは、「隠れ内向」である可能性が高いでしょう。実際、一見とても明るく、飲み会などでは場の盛り上げ役として周囲を笑わせている人たちの中に、案外「隠れ内向」がいたりします。
その場合、周囲の人たちだけでなく、本人自身も、自分が本来は内向型なのだということに気づいていません。
じつは、日本人にはこのような「隠れ内向」が非常に多いのです。
内向型・外向型の特徴と「隠れ内向」とは
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