年々コミュニケーションが希薄になる庭師


ちょうど同じタイミングで、10年に渡り年2回ずつ庭木の剪定をしてもらっていた造園業者も、思いきって変えることにした。

手入れの行き届いた小川さんの庭。梅と松の他、杏、ハナミズキ、あじさいなどが順に咲いてゆく。

これも実家つながりの縁で、いつも実家の庭の剪定の後、車で 20分ほどの距離にあるわが家も回ってもらい、生垣と松の剪定をやってもらう。 2軒まとめて作業することで、料金を割安にしてくれていた。いかにも職人気質の無口な親方が、若いスタッフを2人ほど伴ってやってくるのだが、なぜか年々コミュニケーションが希薄になっていくという謎の関係性で、悩みというほどではないのだけれど、正直ちょっと気の重い相手ではあった。

 

お茶菓子を出す休憩のときに、親方に庭木の手入れについて相談しても、「あぁ」とか「いや」とかこれ以上短い返事はないんじゃないか、という受け答えしか返ってこないものだから、こんな素人っぽい質問をして失礼だったかな、なんて気持ちになってしまう。

で、親方がそんなだから、若い職人さんたちだけがきたときも、みんな同じような態度なのである。この造園会社は住人との会話を禁じているのだろうか? しかし、こちらはどうでもいい世間話がしたいわけではなくて、庭木についての真面目な相談をしているだけだ。もう少し親切に対応してくれてもいいのに、という不満が毎回残る。

よく見ていると、若手の顔ぶれがコロコロ変わるため、母がその辺をちらっと聞いたところ、「若い奴らは長続きしなくて辞めちゃうから、人手が足りなくて大変」と、親方は苦々しい表情でボソリともらしたという。つまり、慢性的な人手不足によって、親方のストレスはたまる一方というわけか。

とはいえ、母によると、実家のほうでも親方の愛想はたしかによくはないが、うちほどひどくはないらしい。おそらく親方に負けないくらい強面のわたしの父が、ずっと張り付いて質問攻めにしているせいだろう。 親方も相手によって微妙に態度を変えていて、わたしは造園の知識が乏しいわりに、やたらと積極的に聞いてくる面倒な客として、親方からは適当にあしらわれていたのかもしれない。