コロナ禍での制限された日常が続くなか、12月1日に愛子さまが20歳の誕生日を迎えられ、美しいローブ・デコルテ姿をお見せになったことは、明るいニュースとなりました。

皇室にとってもさまざまな変化を求められた1年でした。「皇室この一年」の振り返り、今回は愛子さまの成人を中心に天皇家について毎日新聞客員編集委員の大久保和夫さんに話を聞きました。

天皇ご一家、皇居へお引っ越しに。写真/JMPA


コロナ禍で「皇室と国民との新しい道」を模索した年


天皇陛下と雅子さま、愛子さまの天皇家にとって今年の最大のトピックスは何でしょうか。

「やはり長引くコロナ禍による皇室の活動への影響でしょう。
上皇さまが、皇太子時代から上皇后さまとずっと実践し続けて、多くの国民にも支持された象徴天皇のあり方。『国民と直接触れ合う』ことが、その活動の根幹になっていたわけですが、コロナ禍ではほとんどこうした活動は行えませんでした。
前年から継続していることですが、コロナ禍にあって『皇室が国民とどう触れ合うか』が問われた1年でした」

2021年12月、雅子さまのお誕生日に公開された天皇皇后両陛下のポートレート。写真/宮内庁提供

天皇陛下と皇后雅子さまは、コロナ禍で苦しむ人々を思い、地方の訪問やイベントなどの公務にオンラインを利用することを提案されたといいます。
両陛下が訪問すれば、住民が集まり、また警備等の関係者をはじめとした多くの人々が移動することになります。
両陛下が動くことで、感染が広まることはあってはならないと考えられてのことでした。

 

「ポスト・コロナになっても実際に現地に行くリアルとオンライン訪問をミックスしたハイブリッド方式で国民との新たな触れ合いを模索することになるかもしれません。何回かのオンライン行幸啓を通じて、今までは日程的にも訪問が難しい離島などの遠隔地にもオンラインで直接住民らと話ができるという利点も体感されました」

陛下と雅子さまは、5月12日には、「子どもの日」にちなみ熊本県高森町の高森中央小学校と鹿児島県の離島・三島村の三島竹島学園にオンラインで訪問されました。
さらに、11月8日には、「敬老の日」にちなみ静岡県伊東市の伊豆介護センター「フルーズ」に訪問されています。

2年ぶりの開催となった第71回全国植樹祭に、お住まいの赤坂御所から初めてリモートで出席された天皇皇后両陛下。写真/JMPA

「以前なら、こどもの日や敬老の日のご訪問は、東京近郊の日帰りできる範囲の施設に行かれるのが通例でした。
しかし、オンラインなら通常はなかなか行けないような遠くの島や宿泊が必要となる地域にも、宿泊せずに訪問できます。

上皇ご夫妻は、遠く離れたところで一生懸命生活している人に対する強い想いがあり、実際に多くの離島などを訪れました。陛下と雅子さまは、現地訪問ができない状況下で、オンラインでカバーしています。これまでにはなかった、新しい国民との触れ合いの道をつくられたといえるでしょう」

イギリス王室では、オフィシャルサイトやインスタグラム、ツイッター、フェイスブック、ユーチューブなどのSNSを利用した発信をしています。

「だんだんそういったかたちでの国民との触れ合いを探る必要が出てくるのではないでしょうか。
コロナ禍で従来できたことができず、これまでできなかったことができるようになりました。ネガティブな事象をポジティブに転換することが可能になったということで、新しいやり方を本格的に模索し始めた年ともいえると思います」
 

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【2021年 天皇ご一家の愛のあふれた写真】
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1 写真:代表撮影/ロイター/アフロ
2-3.6-10 写真/宮内庁提供
4-5 写真/JMPA

 
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