皆さん、こんにちは。今日もモヤモヤしていますか?

ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをもとに、日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。

コロナ禍をきっかけに家族との距離感に変化があったという人も多いのではないでしょうか。今日は、「家族だからこそ」という呪縛を感じるモヤモヤをご紹介します。

 

 

父の「謙虚さ」にモヤモヤします


エピソードをお寄せくださったのは、両親と同居しているユイカさん(26歳・研究員)。

同居している父とは仕事に関して共通点もあり、普段からたくさんの意見を交わし合う関係です。家庭内で偉そうにすることもない優しい父。私の仕事も応援してくれていると感じています。

しかし、父は対外的に「謙虚」にふるまう傾向があり、娘の近況を訊かれると「まあ元気でやっていますよ、結婚はまだですが(笑)」「○○さんとは違って、孫はまだ先になりそうですが」と答えるなど、娘の私を卑下するような言葉を使います。すべてが本心ではないと信じたいですが、「普段私の仕事を褒めてくれていたのにそんなことを言うのか」と心がチクリと刺された気分になりました。

幸せの基準は人ぞれぞれだと思っている自分にとって、未婚を自虐の意味で使われてしまったのは、まるで結婚絶対主義に加担したようで後からとても悲しくなりました。そして私にとって親愛なる父の言葉は重く、「早く結婚しなければいけない」という呪いがその時から心に残っています。ただ、結婚したとしてもまた別の「自虐ネタ」に代わるだけかもしれませんが……。


「うちの愚息が……」「娘は行き遅れでして」「ママは世間知らずだから」

家族について、必要以上に卑下して話してしまうこと、ありますね。場合によっては聞いている方も、ちょっと気まずさを感じてしまうシチュエーションです。

 


それ、自虐の延長線上のつもり? 私はあなたの付属物じゃない


「私は身の程がわかった人間です」というアピールのために、人はことさらに謙虚に振舞い、自虐をするのでしょうか。確かに、むやみやたらに背伸びしたアピールをする必要はないのかもしれませんが、家族もひっくるめて謙遜するのはどうなんでしょう。自分に近しい人たちを「ざっくり言うと自分」の箱に入れてしまっているのかな。

ユイカさんのお父さんも、ユイカさんに親愛の情を感じているからこそ自分とユイカさんをまとめてしまっているのでしょうね。仕事における共通点もあるとのことなので、その繋がりは特別強いのかもしれません。お父さんは、ユイカさんが外の人に攻撃されないよう、傷つかないよう、自分のマント(価値観)の下に入れてあげている感覚なのではないでしょうか。

でもそのマントは、ユイカさんの持っているマントとは違う。しかもユイカさんは、とっくに成人し働いている自立した大人です。

親が子を「自分の投影」として同一視し、無意識に自分の常識や価値観を押し付けてしまう。それは親子というものが、そもそもの出会いが「対等な人間同士」でありえない以上、ある程度仕方のないことかもしれません。しかしどこかで「親離れ」「子離れ」をしなくては。


「家族を傷つけたくないから、否定できない」もまた、「親子同一視」のあらわれ


その場では、父に何も言えませんでした。家族以外の人もいる中で喧嘩はできませんから。

「ユイカさんの分も謙遜してあげている」つもりのお父さんのメンツをつぶしたり、場を凍らせたりすることはできれば避けたいですよね。

場所を変えて、二人だけで話すことはできるでしょうか。メールや電話などでもいいかもしれません。これは、子どもが勇気を出して声を上げないといけない場面です。残念ですが、「いつの間にか親の方が気づく」ということはほぼないと思った方がいい。「親しき中にも礼儀あり」とか「家族であっても個人の集まり」というメッセージはメディアにたくさん流れていますが、多くの人は「自分たち家族は大丈夫」となぜか思っているからです。

二人で話せるシチュエーションを設定できたとして、それでもなお「父を傷つけることはできない」と思うのであれば、その病魔はお父さんのものと同じ「親子の同一視」です。繋がりを強く感じているからこそ、相手を否定できない・受け入れたいと願ってしまう。家族って、親子って、本当に難しいですね。

皆さんは、家族の謙遜に傷つけられたことはありますか? そんなとき、どんな風に対処しましたか?

皆さんのモヤモヤ話を教えてください!

職場や家庭で、イラっとしたけど言えなかった、違和感を感じたけど言葉にできなかった、モヤモヤしているのは私だけ? と思った経験がありましたら教えてください。エピソードを掲載させて頂く際はミモレの会員ニックネームではなく、仮名でご紹介します。皆さまからのエピソード投稿をお待ちしております。

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構成・文/梅津 奏


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