句読点やカギ括弧、疑問符(?)、感嘆符(!)などの文字や数字以外の記号のことを「約物(やくもの)」といいます。文章の見た目の印象にも影響を与える約物。インパクトをもたせたり、余韻を残したり、1文字、2文字でも大きな効果を発揮する一方で、乱用すると文章の品位を落としてしまうことも。今回は、約物の使い方の基本と意識して使うべきポイントを解説します。

 


約物の種類と役割。役割どおりに使おう!


約物には、印刷用語でいうところの「記述記号」=句読点、区切り符、括弧類や「つなぎ符」=ダッシュ(―)やリーダ(…)などがあります。広義には、ハートマークや星マークなど記号、(^^)などの顔文字、絵文字、(涙)(笑)あるいはwなどのネットスラング的なものも含んで総称することもあります。

約物の表記と使い方のルールは、掲載する媒体や業界によっても異なります。メディアの表記方法が国語の教科書で習ったことと違うケースもあるかもしれません。この記事では、講談社の表記ルールをベースに、主に出版業界で採用されているルールを中心に解説します。

記号の役割を知った上で、一つの文章の中で無秩序に使わないとまずは意識することが大事です。よく使う記号で書き方を迷いがちなものから解説しますね。

 


「」と『』と“”を使い分ける

 

カギ括弧「」は、会話文や引用、固有名詞、語句の強調の際に使います。
二重カギ括弧『』は、カッコの中のカギ括弧や、本・映画などの作品名を表記する際に使用します。作品タイトルは『』、1話のタイトルは「」と使い分けたりします。

例)
『刑事コロンボ』シリーズの記念すべき第1話は「殺人処方箋」(1968年)。

会話ではない強調の意味で「」を使うことが多くなっています。強調の意味で使う引用符としては“”もありますね。“”は、あえての、いわゆる、通称、造語など、正式名称や一般的な表現ではないけれど特別に強調したい場合に使うことが多いです。

例)
ドラマ“逃げ恥”の再共演をきっかけに……

括弧類にはそのほかに、すみつき括弧【】、山括弧〈〉、亀甲括弧〔〕などがあります。

 

連載タイトルは【】、作品名は『』、ブランド名は〈〉、略称は“”などとルールを決めて、一つの文章の中で役割を統一しましょう。

括弧でくくると強調される一方で、連続すると目障りで文章の流れがぶつ切れになってかえって読みにくい場合も。一文の中に1回くらいにしようとか、一段落の中に2種類以内にしようなどと、多用を防ぐセルフチェック基準を設けるといいと思います。