近年、ますます過熱する中学受験。親子が二人三脚で、家族一丸となって挑む様子が昨年ドラマ『二月の勝者』で描かれたことで、印象に残っている方も多いと思います。

コロナ第6波が直撃した2022年の中学受験。思い描いた結果が出た方も、そうでなかった方もいらっしゃるでしょう。厳しい状況のなかで戦い抜いた方々に心からの敬意を表します。

この記事では、小学校&中学校受験をテーマにした小説『天現寺ウォーズ』の作者、佐野倫子が、「不合格だったときの中学受験の幕引き」と「アフター中受の過ごし方」について考えてみたいと思います。

 
 

たった1日で、数年間が試される「中学受験」という「功罪」


2022年の中学受験には、大きな試練がありました。オミクロン株による猛威です。

従来のタイプよりも重症化しにくいのではという分析もなされていますが、受験生とそのご家族にとっては、感染と同様に、濃厚接触者となってしまい受験が出来ないことが脅威です。そのために、生活リズムが損なわれることを危惧しながらも1月は小学校の登校を控えたり、直前期で大切な時にも関わらず塾もオンラインに移行したりと、影響は甚大でした。

中学受験の入試日程は地域ごとに集中しているため、希望する学校がたくさんあっても全てを受けることはできません。多くのご家庭では6年生後半の平均偏差値=「持ち偏差値」と比較して上方に位置している「チャレンジ校」、同等程度の「実力相当校」、合格が見込める「おさえ校」を数校ずつ取り交ぜて緻密にプランを練ります。

しかし、いくら偏差値で区切ったところで、問題の傾向や配点はバラバラ。当然、多少の偏差値の差は当日のコンディションや問題との相性でひっくり返ってしまいます。

昨今の過熱した中学受験情勢を背景に、低・中学年から準備や通塾をして努力してきた子どもたち。その膨大な努力に対して、一発勝負で合否が出てしまいます。ある意味で公正なシステムですが、残念な結果だったとき、それをうまく受け入れられないことは当然のことです。

しかしたとえ入試自体が不本意な結果だったとしても、それを糧にして前に進む方法がきっとあるはず。そもそも、中学受験における「失敗」とは何を指すのでしょうか?

まずは経験者の声に耳を傾けてみましょう。