「女性アスリートの生理問題」について、トップアスリート同士が貴重な経験を語り合うYou Tube番組『Talk up 1252』

番組ホストは、元競泳日本代表選手として2度のオリンピック出場経験がある伊藤華英さんと日本初のアスリート外来を開設した東大病院 産婦人科医の能瀬さやか先生。
毎回、さまざまなゲストとともに、女性アスリートを取り巻くスポーツ界の現状と課題について考えます。

今回は、女子史上初のオリンピック4連覇を達成し、国民栄誉賞、紫綬褒章を受賞するなど、数々の輝かしい経歴を持つ、レスリングの伊調馨選手がゲストに登場。
思わぬきっかけから発見された子宮筋腫の手術を経験された伊調さん。月経の問題や婦人科とのつき合い方について伺いました。

レスリング伊調馨選手「現役時代の生理。オリンピック前に筋腫の手術も…」_img0
 

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伊調馨
1984年青森県八戸市生まれ。兄と姉の影響で幼い頃より八戸クラブでレスリングを始める。レスリングの強豪校、愛知県の中京女子大学附属高校に進み、中京女子大学(現・至学館大学)を経て、ALSOKに入社、現在に至る。2016年リオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得し、女子個人種目世界初の4連覇を達成する。この功績により同年10月に国民栄誉賞を受賞。

 


階級のある競技の課題は
月経時の体重コントロール


伊藤さん(以下、敬称略):今回は、番組始まって以来、初めて階級のある競技についてお伺いしますが、試合前は減量などの体重コントロールが不可欠ですよね。
月経周期による体重変動の影響は、大きかったのではないでしょうか? 学生時代は、どのように管理されていましたか?

伊調さん(以下、敬称略):私が学生だった当時は競技の階級が4つしかなくて、60kg前後だった私は63kg級で試合に出場していました。
どちらかというと常に体重を増やすことを考えていたので、確かに月経前は体重が増えていましたが、それで苦労することはありませんでした。

伊藤:月経の量やPMS(月経前症候群)などのお悩みはいかがでしたか?

伊調:多少は腹痛や胸の張りを感じることもありましたが、練習を休むほどのものではなかったですね。試合と被らなければいいな、くらいに思っていました。

伊藤:実際に、月経期間が試合に被ったことはありましたか?

伊調:それが、奇跡的になかったんです。

伊藤:すごい! それは運が強いですね!

伊調:よく、「生理はうつる」と言うじゃないですか。
試合日程に被りそうになると、わざと月経中の人と一緒に練習をするのですが、そうすると1日くらい早く来たり(笑)。
レスリングは密着度が高いので、効果があるのかなと思っていました。

伊藤:そういう話もありますね。私も周りの人に「うつして」と言っていた気がします(笑)。
能瀬先生にお伺いしますが、月経は本当に人にうつるのでしょうか?

能瀬先生(以下、敬称略):医学的にはまったく根拠はないですね(笑)。

伊藤:やはりそうでしたか(笑)。
ところで、伊調さんは、アテネ、北京、ロンドンと63kg級の階級で戦った後、リオデジャネイロからは58kg級に変更されましたよね。それ以降、体重管理に問題はありませんでしたか?

伊調:リオからは新たに58kg級の階級が増えたので、より自分に合いそうな階級でやってみようと階級の変更をしました。
2、3kgの減量が必要になりましたが、私の場合はPMSの症状が“食欲増進”で、毎月2kgくらい増えてしまうんです。そこで、初めて調整が必要になりましたね。

能瀬:個人差はありますが、一般的に月経前は2kg程度増加します。1〜2kg増えるという選手は多いですよ。

伊藤:階級がある競技の場合、月経時の課題は変わってきますか?

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能瀬:やはり、月経前やその最中、また低用量ピルやホルモン剤の服用中は、体重が減りにくいことが多いです。
競技で減量が必要な場合は、わざと月経の日程を早め、月経期間が終わってから減量に入っていくように調整する方もいらっしゃいますね。

伊調:減量がうまくいってこそ試合のパフォーマンスが上がるので、減量と試合はワンセットなんですよね。


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【写真】リオ五輪で4連覇を果たした伊調選手
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1-2.7 写真:青木紘二/アフロスポーツ
3 写真:ロイター/アフロ
4 写真:新華社/アフロ

5-6 写真:ZUMA Press/アフロ

 
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