マディソンブルーの洋服を語る上で、私の中でシャツと同じくらいに大事にしているのがアウター類です。中でも、もう一枚あったらいいなと密かに思っているのが、パールボタンコート。
苦手だったけれど、今は寝ても覚めても愛すべき街
 
ネイビーのこのコートはカシミヤ混のウールで、軽くて、サラリと羽織るのに心地よい柔かな風合い。肩がすっきりと納まるチェスターコートで、これもまた日頃カジュアルスタイルの多い私にはぴったり。ラフなスウェットにぱっと羽織るだけでもフォルムがきっちりと見えるから、気楽なのに気楽すぎないそのムードが絶妙。ソフトジャケットのような感覚でさらっと取り入れています。何よりも、パールボタンのチャーミングなこと! メンズライクな“硬さ”も柔和になり、それでいて小粋な印象も。私にとって、パーフェクトなコートなのです。
苦手だったけれど、今は寝ても覚めても愛すべき街
 
色展開だけでなく、ウールでも素材にはいくつかのバリーションが。薄くて軽やかな生地は二枚仕立てになっていて、着ると驚くほど暖か。その2枚仕立ての生地を始末する際に、縫い目が表に出ないよう、まつり縫いで1針ずつ手作業で接合し仕上げていきます。美しい佇まいは、そういう細やかな技術の賜物。日本においてそれはもはや僅かな職人さんの希少な技術になっているのだそう。マディソンブルーではその職人さんたちとの関係を一過性のものにしたくないからと、安定してオーダーできるよう定番アイテムにすることで継続的にお願いできる仕組みを作っている。圧倒的な美しい佇まいを叶えるのは、その技術あってこそ。日本が誇る素晴らしい技術がこの先もずっと続くように、まりこさんの物づくりへの真摯な取り組みが伺えるエピソードでした。

まりこさんの中にある、素直さとしなやかさ。そして、時には熱くなる、暖かくて柔らかいハート。そしてその根底にある感謝とリスペクト。今回改めてゆっくりとお話を伺ってつくづく実感しました。

 

「ねーこれ素敵!」「この合わせ方、まりこさん、最高にかわいい!」とわーきゃー言いながらのルックを撮影していたことを振り返ると、そうか、私もまりこさんのパッションに確実に共鳴していたんだなと、改めて思い知りました。

ヴィジュアルになったビッグスマイルの数々も、撮影が本当に楽しくて、素敵な服に思いっきりときめいている私自身の気持ちが溢れ出ているから……かな?


それはきっと、マディソンブルーの服を着て出かける日も同じ。愛すべき大好きなものに体が包まれているという喜びは、ささやかなことかもしれませんが、それも私にとっては毎日を豊かにしてくれる幸せの1ピースなのです。5年後、10年後も、きっと私はマディソンブルーの服を着てにこにこしていることでしょう。


久しぶりのまりこ節に、年齢を重ねていく楽しみ、素敵な服を着る喜びがまた改めて喚起されました。生き生きと、少し前を歩いてくれる素敵な大人がそばにいる、そのなんともありがたきこと! まりこさんとの出会いにも改めて感謝です。

 

次回はアソースメレのディレクター、大谷繭子さんを訪れます。美しい瞳とマイルドでお人柄。でも、鋭い眼差しと高い意識でスタートされたブランドのディレクションのお話から、ストールレッスンまでお届けしようと思います!どうぞお楽しみに。
 

苦手だったけれど、今は寝ても覚めても愛すべき街
 

右)中山まりこ●「マディソンブルー」デザイナー&ディレクター。2014年にブランドをスタート。トラッド、ワーク、モード、エレガンスなどのエッセンスを絶妙にブレンドしたハイエンドなカジュアルスタイルの提案に、おしゃれに一家言ある大人の女性たちから絶大なる信頼を集める。Instagram: @marikonakayama @madisonblue_official
左)松井陽子(まついようこ)●ファッションエディター&ライター。湘南在住。雑誌やカタログ、広告など広いジャンルで活躍中。mi-molletで月に2回アップされる「スタッフの今日のコーデ」も人気。Instagram: @yoko_matsui_0628

 

中山まりこさんと松井陽子さんのマディソンブルーの着こなしを見る
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撮影/目黒智子
構成・文/松井陽子
編集/朏 亜希子(mi-mollet編集部)
撮影協力/マディソンブルー
 


前回記事「大人に似合うシャツは「新鮮なのに、変わらない」【マディソンブルーのシャツ作り】」はこちら>>

 
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