日々実践できるアンラーンテクニック
アンラーンは、「変化できる自分」を保つメンテナンス。年一回の大掃除のような大イベントにするのではなく、日々の仕事・生活のなかでこまめに実践し癖づけることが大切です。
本書の中では、日々実践できる小さなアンラーンテクニックが8つ紹介されています。特に使いやすそうなのが、「『これは、今の会社(環境)じゃなくても通用するだろうか?』と問う」こと。
例えば、定例ミーティングの後はいつも数時間かけて議事録を作成し、上司チェックを受けた上で回覧しているとします。丁寧に記録に残すことを重視する会社なら普通のことかもしれませんが、「今の会社じゃなかったら」どうでしょうか。
ミーティング中にとったメモをそのまま共有サーバーに保存して終了という会社もあるかもしれません。議事録なんて作らないよという人だっているかもしれない。この場合、自分の中に「議事録は完璧なものでなければならない」という思考のクセが隠れていることに気づきます。
このような小さなアンラーンを日々繰り返すことで、視界が少しずつ広がり、新しいものに対応する柔軟性が育っていくのです。
20年前からアンラーンを実践!大草直子さんのキャリア
大草直子さんのキャリアは、まさにアンラーンの繰り返しです。
出版社を辞めて南米にサルサ留学、紙の雑誌の編集者を辞めてウェブマガジンミモレの編集長に……。そして今、ミモレのコンセプトディレクターを退任し、新しいチャレンジへと向かう大草さん。
何か新しいことをはじめようとするとき頭をよぎるのは、「別にこのままでもいいんじゃないか」「今持っているものを手放すのが惜しい」という思い。この心理的ハードルが、アンラーンの邪魔をします。
このハードルを越える武器になるのが、日々の小さなアンラーン習慣と、アンラーンの成功体験。大草さんは、著書『飽きる勇気』でも自分の興味関心が移りかわることを肯定していますし、実際に「手放して次をつかむ」成功体験を持っています。だからこそ、しなやかにアンラーンを続けることができるのでしょう。
今「10」を持っていて、そのうち、たとえば「6」をアンラーンで外すと「4」しか残らない、減ってしまった……というふうに捉えてしまいがちなんですが、実際は、空いた「6」にもちゃんと価値がある。「6」以上に広がっていく可能性に満ちているんだと思うんです。
一『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』より
大草さんと同じく、仕事・家庭・趣味などマルチタスクで忙しいミドル世代。限られた時間で効率よく学び、チャンスをつかむために、まずは「アンラーン」の習慣を身につけてみませんか。
文 /梅津奏
前回記事「人気アナウンサーたちの決断の春。「役に立つ」から「意味がある」にシフトする、ニュータイプの思考法とは」はこちら>>
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