差額ベッド代が発生する病室とは


差額ベッド代は、環境の良いベッドに対して発生する追加の特別料金のこと。通常、入院の際に差額ベッド代は発生しませんが、次の条件を満たす病室は「特別療養環境室」と呼ばれ、該当する病室に入院する場合は差額ベッド代がかかってしまいます。

義母が緊急入院。「差額ベッド代を払う余裕がない」と伝えるのはアリ?_img1
 

つまり1~4人部屋で上記の条件を満たしていれば、差額ベッド代がかかるということ。差額ベッド代は入院時の食事代や生活費と同じように健康保険適用の範囲外で、患者の自己負担となります。また、医療費控除の対象にもなりません。

「じゃあ病院によっては、どの病室に入院しても差額ベッド代がかかるパターンもあるの?」と思われる方もいるかもしれませんが、その心配はいりません。病院が設置する差額ベッドの数は厚生労働省が定めており、「差額ベッドを設置できるのは全ベッド数の5割(国が開設する病院は2割、地方公共団体が開設する病院は3割)まで」となっています。

義母が緊急入院。「差額ベッド代を払う余裕がない」と伝えるのはアリ?_img2
 
 


差額ベッド代が発生するケース


ちなみに、差額ベッド代が発生するケースは次のものに限定されています。

・自ら希望した場合
・同意書に署名をした場合

逆に次のケースは支払いが発生しません。

・病院から差額ベッド代の説明を受けておらず、同意書の確認が行われていない場合(ほとんどありませんが……)

・同意書による確認がされていても、同意書の中に室料の記載や署名がない場合

・病棟管理の必要性から患者を特別療養環境室に入院させた等、実質的に患者の選択によらない場合(いわゆる病院都合)

徘徊などによって他の患者からクレームが出て、病棟管理の問題から個室に移ってもらうケース、感染力の強いウイルスにかかって感染防止のため特別療養環境室への入院が求められるケースなどは、患者自らの選択によるものではないため、差額ベッド代を払う必要はありません。

差額ベッド代がかかる病室への入室同意を求められたら?


大部屋に空きがない場合、文書を示して「個室は2万、2人部屋は1万……」などと説明を受け、それでも可能かと同意を求められます。ですが急を要する入院で、「差額ベッド代を支払いたくない」と拒否できる人はどのぐらいいるでしょうか。入院を断られるかもしれないという不安から、多くの方は受け入れざるを得ないと思います。

そこで自ら個室を希望しないのであれば、「できれば差額が発生しないベッドをお願いしたい」、「経済的に余裕がないので早めに大部屋に移して欲しい」とはっきり伝えるようにしてください。空きが出た時点で差額ベッド代がかからない部屋に移動させてくれるでしょう。もしかしたら、10日間の入院でも差額ベッド代が取られるのは最初の2日間だけで、残りの8日間は大部屋に移してくれるかもしれません。
 

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写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
編集/佐野倫子

 


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