年老いた親が1人で遠くに住んでいると、家族間で定期的に話題になるのが「そろそろ誰かが同居する?」。昔ほど一般的ではなくなってきましたが、認知症や介護を必要とする状態の場合、やはり一緒に住むという選択肢が頭をよぎります。でもその前に知っておくべき大事なことを紹介しましょう。今回相談に訪れた40代の主婦・早紀さんは、「世帯分離」という言葉を知らなかったため、介護費用において損をするところでした。
要介護の母を安易に同世帯にした結果……
私の実家は静岡県沼津市にありますが、両親からは「同居したい」なんて言われたことは一度もなくて、夫婦仲良く暮らしていました。両親ともに80代、父親は要支援2、母親は要介護2という状態でしたが、訪問介護とデイサービスを利用しながら何とか元気にやっていました。私は夫と子どもと東京の足立区に住んでいて、両親のケアマネージャーさんと密に連絡を取りながら、月に数回実家に様子を見に行く生活を続けていたんです。ところがある時、父親が肺炎で亡くなってしまって……。東京に住む兄と話し合いになったのが、母の今後のことでした。
両親がまだ元気だった頃、母は「あそこのお宅のお父さんは老人ホームに入れられたらしいわよ」「今度はあそこのお母さんまで老人ホーム……」という話をよくしていました。そんな時、決まって母は「自分の居場所も自分で決められないなんて可哀想よね。私だったら絶対施設には入りたくないわ」と。そんな話を覚えていたので、「老人ホームに入ってみる?」なんて口が裂けても言えません。でも母はアルツハイマー型認知症の初期なので、実家にひとり暮らしをさせるのは難しい。夫に事情を理解してもらって、とりあえず母を自宅に呼び寄せました。
在宅介護に限界が来たら施設に入居しようと話し、まずは区の介護サービスを利用するため住民票を移したんです。そんな話を介護経験のある友人にしたところ、「世帯は別にしたほうがいいよ」とアドバイスをされて。その友人が言うには、同居していても世帯は別という「世帯分離」にしておけば、介護費用が安くなると。介護において世帯を分けることってそんなに重要なんですか? 考えてもみなかったことなので、世帯分離について詳しく教えてください。
「世帯分離によるメリットには何がある?」知っておきたい3つの得ポイント
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