「痛み」の専門家としてYouTubeやTikTokなどで情報を発信する、「富永ペインクリニック」院長の富永喜代先生。「性交痛外来」を設け、多くの女性の悩みに向き合ってきた富永先生ならではの、“性のお悩み”を解消する動画が人気を博しています。

そんな富永先生の著書『女医が教える性のトリセツ』は、加齢に伴う男女の体の変化に沿って、中高年がより良い性生活を送るための医学的な知識や、体に負担をかけない夜のテクニックを教えてくれる一冊。年齢と共に悩みは増えがちなのに、人には話しづらいテーマ・中高年の性生活。今回は本書から、“性交痛の原因と解決法”について教えてもらいます!

 


誰にも相談できない「性交痛」


「いつもセックスのときに挿入が痛い、でも夫には言えない」
「セックスが苦痛といって、妻が応じてくれない」

セックスの悩みは性別や年齢を問わずとてもデリケートなものです。身近に相談できる人がいればいいのですが、なかなか気軽に口に出せないことがほとんどです。

 

富永ペインクリニックでは、痛みの専門家として、また私自身が更年期であるひとりの女性として、性交痛外来を開設し、これまで5000人超もの性交痛診断を行ってきました。

夫婦の営みをより充実させたい方はもちろんのこと、再婚、婚外性交、シニアの交際など、「性の多様化」が進む中、若いころのようにセックスができず、自分の身体になにが起こっているのか、原因も対処法もわからずに戸惑っている人が少なくありません。またこの数年は、コロナ禍ということで、オンライン診療も活況で、全国各地からの問い合わせが相次いでいます。

パートナーに痛みを伝えるのは、簡単なようで実は難しいことです。どうやって伝えたらいいかモヤモヤしながら、痛みを我慢し続けてセックスをしていると、次第にセックスをすること自体が苦手になってしまうこともあります。痛みが原因でセックスを回避し続けた結果、パートナーへの愛情が薄れてしまう、という事態は最も避けたいものですね。

ここからは、ケーススタディをもとに性交痛の原因や対処法をつまびらかにしていきます。痛みも実態がわからないうちは不安ばかり募りますが、その正体がわかれば、気も晴れるものです。
 

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1分でできる! 性交痛チェックリスト
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