月に20万円稼げればいい。こんなに楽しい仕事だから


結果的に集まったのは30万円でした。もともと、大量生産して在庫を抱えるようなビジネスプランはなく、会社員時代に貯めた200万円を最初の費用にあてようと思っていました。だからクラウドファンディングは資金調達、というよりも一番の目的はお客様の反応を見ること。そして願ったとおり、「これが実際できたら欲しい」「こういうのを探していた」というお客様の声をきくことができました。嬉しかったですね。そしてそれを頼りに、さらに商品のミリ単位の調整を行いました。

しかし、いよいよ完成が近づいてくると、不安な気持ちも生まれます。

これまで、「いいものを作りたい」「理想のブラジャーをこの目で見たい」という気持ちだけで走ってきましたが、これからは商品を売る戦略も考えなくてはいけません。でも、そのことはほとんど考えたことがありませんでした。こうなったら手探りです。

 

目標は月の売上で100万円くらい、利益として手元に20万円くらいあればいいなと思っていました。なんとか会社員くらいの収入があって、こんなに楽しい仕事ならばやっていける、と。そう思うと、起業もそこまでハードルが高くないと感じられませんか?

そしていよいよ、商品が完成します。下着を、まるでお菓子のマカロンを選ぶようなうきうきした気持ちで選び、手に取ってほしい。そんな気持ちを込めて、ブランド名を「BELLE MACARON」(ベルマカロン)と決定しました。カラー表示をマカロンになぞらえて、カシスやアプリコットなどにしているのもこだわりのひとつです。

 

いよいよ「BELLE MACARON」としてブラジャーの販売をスタート。オリジナルのECサイトを作り、お客様からの注文を心待ちにしていました。

ところが、全然売れなかった。正直へこむ毎日でした。

この頃はPRなど試行錯誤を繰り返し、必死の手探りでしたが、だからこそ着実にスキルが積み重なっていったようにも思います。コツコツと地道にいきました。宣伝のための商品撮影ひとつをとっても、カメラマンもモデルも自分で探して。その過程で、商品の改良ポイントも収集し、商品のバージョンアップも画策しました。

時を同じくして、派遣社員を辞めて次の「副業」もスタートします。なんと、起業してからの試行錯誤を買われて、副業や起業をサポートするベンチャー企業から、その知識とスキルを共有してくれませんかと声をかけていただいたのです。リモートワーク中心だったので、ブランド運営と両立することができました。

そして2018年11月、それまでの長い過程の集大成ともいえる、「24hブラ」を誕生させました。