自分への誹謗中傷を通して見えてきた人間の面白さ
──『ADHDの旦那って意外と面白いんよ』(以下、本書)では、お二人が発達障害と向き合いながら良い夫婦関係を築こうと奮闘する様子が書かれていますが、そもそもはお二人とも他人とのコミュニケーションが苦手だったそうですね。
ダイスケさん(以下、敬称略) 僕はいまだに得意ではないですね。ただ、自分が思っていることをちゃんと言う。それを相手がどう捉えようと、自分の人生には関係ない。その代わり、自分の発言を相手がどう受け取るかも相手側の自由。そのことに気づいてから、コミュニケーションがだいぶ楽になりました。
──発想が変わったのは、何かきっかけがあったのですか?
ダイスケ YouTubeを始めて、誹謗中傷のようなコメントが寄せられるようになったのが大きかったです。それこそ毎日のように嫌なコメントが上がってきていたので、これをいちいち気にしていたらきりがないと思うようになって。そのうち、アンチの意見に対してこちらからも意見をぶつけるようになりました。そういうことを繰り返しているうちに、人それぞれ違う考え方があって、そのこと自体が面白いんだと思えるようになりました。
ちゃんまりさん(以下、敬称略) 私はそういう考えになれるように挑戦している最中ですね。いまだに他人の反応が気になっています。他人の目を気にせず、自分の思ったことを正直に話すのが一番良いと頭ではわかっているのですが……。
ダイスケ 赤の他人なら「自分には関係ない」と割り切れても、YouTubeで言いたいことを言っている自分たちを見て、「親は心配するかな?」「友達はなんて思うだろう?」と不安になることはあったかもしれないです。でも、それも含めてYouTubeをやっていくと覚悟したので、今は考えないようにしています。
自分を使って社会実験している感覚
──楽しく生きるために必要なものとそうでないものが明確になっていて、要らないものを徹底的にそぎ落としていっている感じですね。
ダイスケ まさにそんな感じです。本書にも書きましたが、僕はIQが70台でとても低いので、たくさんのことを一度には考えられないんです。だったら、自分が幸せになることだけを頭の中に残しておけばいいという、すごく単純な発想ですね。とにかく「人の目はあくまでも人の目だよ」と徹底して意識することで、気持ちをフラットにできるようになりました。
──私なんかは「あの人にもこの人にも良く見られたい」と欲張ってしまうでしょうね。
ダイスケ 僕にそういう欲がないのは、実験している感覚だからかもしれないです。自分たちみたいな発達障害の人間が内面を世間にさらけ出したら、どれだけの人が共感してくれるだろう、とか。自分を使って社会実験しているのかもしれないですね。だから、どんな反応が来ようと楽しく感じられます。それはそれで幸せなことだと思います。
ダイスケさんの思考回路はどうなっている?
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イラスト/S.k
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