漫画/上野りゅうじん

愛する猫たちと悠々自適の生活を送っていた医療ライター・熊本美加さんの身に起きた「まさか」の大事件。突然の心肺停止から奇跡的に生還した体験をマンガ化、医師監修の役立つ情報とともにまとめたのが、『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』です。


熊本さんは一命を取り留めたものの、倒れた時の脳のダメージから「高次脳機能障害」に。リハビリ病院への長期入院&退院後も自宅でリハビリを続ける生活になってしまいました。

ですが、今振り返れば「あの時、病院に行っていれば……」という予兆があったのだそうです。それは毎朝、同じ時間に訪れた「もやもやとした不気味な胸の痛み」。横になるといくぶん楽になる感じだったので、熊本さんはやり過ごしてしまったのです。

予兆があったにもかかわらず、なぜ事前に防げなかったのか。私たちの一番気になる「なぜ?」に、熊本さんご本人が答えてくれました!

さらに、つらいリハビリを乗り越え猫たちとの生活を取り戻すまでの道のりを、本書の漫画から抜粋してご紹介します。

 

なぜ気づかなかったの?


「胸の痛みは朝、『おしん』の再放送を観る時間に限って起きていたので、モラハラシーンのストレスが原因だとばかり……。さらに“心臓は左側”という思い込みで、胸の真ん中あたりの痛みが心臓のものとは思いもよりませんでした」
 

なぜ病院に行かなかったの?


「朝の胸の痛みは横たわっていると10分ほどで収まり、その後は普通に1日を過ごしていたから。ただ倒れた当日を思い返すと、その日はなかなか痛みが治まらず、アポの相手に『遅れる』と連絡を入れていたので、それまでより苦しさが強かったのかもしれません」
 

心肺停止は結局、何が原因だった?


「私は『冠攣縮性狭心症』と診断されましたが、この心疾患を引き起こした原因は何かというと、そこまではわからない、というのが正直なところ。ただ、きっかけになったかもしれないと思うのは倒れる3年前、母がすい臓がんになったショックです。母と私は親友のような関係で、毎日電話するほどでしたから。

さらに看護や治療法、亡くなった後の葬儀などでは、親族との意見の食い違いによる軋轢も……。フリーランスでバツイチということから信頼してもらえず、私の意見は排除され続けたことも人生最大のストレスでした! 母の死後、私の酒量は倍増。何か思い当たるふしがあるとすれば、巨大なストレスと酒量ですね」

身体に何らかの違和感や痛みがあっても「すぐに治まるから大したことはない」「病院は大袈裟かも」などと自己診断したり、「今抱えているストレスがなくなれば」とそのまま放置してしまうことはよくありますよね。熊本さんがきっかけとして挙げていたストレスも、完全になくすことはできません。重大な事態を防ぐには、原因となりそうなものを排除するより、どんなに小さな異変も受け流さないことが大切なようです。


的確な救命救急措置と治療によって、何とか一命は取り留めたものの、心肺停止による脳ダメージから「高次脳機能障害」を抱えることに。熊本さんを待っていたリハビリ病院での生活とは……?

※一部表現を修正しました。

リハビリ病院で熊本さんを待っていたのは?
7〜9話までを通しで読む!

▼横にスワイプしてください▼

『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』
熊本美加・著 上野りゅうじん・漫画 鈴木健之・監修 1320円 講談社

毎年の健康診断では「問題なし」だったアラフィフの医療ライターが、ある朝、山手線で心肺停止に。予兆はなかったのか? その時、生死を分けたものとは? その後、高次脳機能障害となるもリハビリを経て仕事復帰するまでをまとめた「蘇りルポ」をコミック化。主治医の監修付きで実用書籍にしました。自分と大切な人のために、読んでおきたい一冊です。



熊本 美加
東京生まれ・札幌育ち。医療ライター、性の健康カウンセラー。大学卒業後、広告制作会社などを経てフリーライターに。更年期ウイメンズ&メンズヘルス、性感染症予防・啓発、性の健康についての記事を執筆。2019年に電車内で心肺停止で倒れ救急搬送され蘇る体験以後、救命救急、高次脳機能障害、リハビリについても情報発信中。



上野りゅうじん
2017年「うちのへそ曲がり!!」でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵などを担当。『オカン DAYS』(講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理著、講談社)、『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』(KADOKAWA)がある。


漫画/上野りゅうじん
構成/山崎 恵

 

 
 

第1回「山手線で心肺停止!50代医療ライターが見逃した2週間前の予兆「毎日同じ時間に、同じ場所が」」>>

第2回「山手線で心肺停止!救急隊到着までの20分、私の命を繋いだもの「下がるのは“蘇生率”だけじゃなかった」」>>

第3回「「ワシは面倒見れん」「お姑さんの介護が...」昏睡状態の50代女性の横で始まった家族会議が超シビアだった話」>>

第4回「看護師に掴みかかり「ここから出してよ!」心停止で昏睡状態に陥った私が、目覚めたら凶暴化していたわけ」>>

第5回「簡単な「文字の並び替え」が解けない...病気や事故が引き起こす「高次脳機能障害」とは」>>