3匹の猫とぬくぬくと平穏に暮らしていた医療ライターの私。
ある日突然、山手線内にて心肺停止で倒れて救急搬送。生死を彷徨い、生きのばす体験をしたのです。
急性期病院と回復期リハビリ病院で入院生活を過ごし、なんとか仕事に復帰することができました。そんな日々で思い知ったのは「もしも」は他人事じゃない。そして一人暮らしの生活はあまりに無防備な環境だった。
次に倒れた時のために、何をどう備えておけばいいのか探ってみました。

 

・第1回「山手線内で心肺停止!即死を免れた医療ライターが2週間前から感じた予兆とは?」>>

・第2回「電車内で心肺停止…脳の機能障害になった女性医療ライターの入院&治療ルポ」>>

・第3回「心肺停止、脳障害から蘇った医療ライター「倒れた後の入院&治療のリアル」」>>

・第4回「山手線内で心肺停止から蘇った医療ライター「留守番の猫は?退院後にした3つのこと」」>>

・第5回「心肺停止から蘇った医療ライター「仕事復帰までの道のり、退院後の生活で困ったこと」>>


命を救うためにできること

 

退院して同居するニャンズたちと日向ぼっこを楽しめる幸せを噛みしめつつ、心身ともに回復してきた私。
まだ、シャバに戻ってやりたかったコトの最後のひとつが残っていました。

それは、救命救急講習を受けるコト。

突然倒れた私がたくさんの人に助けられたように、急病人が発生した時に自分も動けるようにノウハウを学んでおきたいと思ったからです。それなのに、にっくきコロナのため講習は一旦停止。半年間待って、ソーシャルディスタンスを保てる少人数で再開、ようやく参加することができました。

もし、倒れている人(傷病者)がいた時に居合わせたら、どうするか? 

① まずは周囲の安全を確認して近づき、両肩を軽くたたいてから「わかりますか?」と呼びかける

いきなり大声では相手を驚かせるのでNG。徐々に声のトーンを上げて反応があれば、傷病者の訴えを聞いて、必要な応急処置をします。反応がない場合は、大声で「誰か来てください、人が倒れています」と助けを求めます。そして、「あなたは119番通報してください」「あなたはAEDを持ってきてください」と、人を指定して具体的に協力を要請。
周りに人がいない場合は、自分で119番通報し、AEDが近くにある場合は取りに行きます。

② 呼吸を確認

胸腹部の動きを見て、呼吸が正常ではないと判断したらすぐに心肺蘇生を開始。
また、心臓が止まった直後はしゃくりあげるような呼吸がみられることがあります。これは普通の呼吸ではありませんので、間違えないように。

心肺蘇生は、胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせになります。みぞおちのあたりに両手を合わせて「強く・早く・たえまなく」30回圧迫したら人工呼吸です。
頭を下げて顎を持ち上げ、気道を確保し鼻をつまんで鼻孔を塞いで、口から息を吹き込みます。これを2回やって、また胸骨圧迫から繰り返します。

③ AEDが手元にきたら電源オン

 

蓋をあけたら自動的に電源が入るものもあります。あとは音声メッセージの指示に従って行動するだけ。
傷病者に電極パットを装着すると、心電図を解析して必要であれば「ショックボタンを押してください」と指示が出るので、迷わずプッシュ。その時に、感電の危険があるので、誰も傷病者には触れないように。

胸骨圧迫はけっこう力が必要ですが、これが生存率を上げ、その後の後遺症を軽減するためにとっても大事になりますので、勝負どころ! 緊急時はただでさえ焦ってしまうので、皆さんもぜひとも一度は救命措置の練習をしておくべきです。

ちなみに、東京マラソンではこれまで12回の大会で合計11人のランナーがマラソン中に心停止に陥っていますが、全員がAEDで無事に救命されています。
周りの人の迅速な対応があれば突然死を防ぐこと、その後の後遺症を軽減することができます。

現在、新型コロナ感染予防のため、成人に対しては人工呼吸を行わず胸骨圧迫とAEDのみの実施が推奨されています。子どもは窒息や溺水などの呼吸障害での心停止が多いことから、人口呼吸の必要性が高く、実施することになっています。
 

【写真】心肺停止後の入院生活を振り返る
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