突然の心肺停止から奇跡的に生還した、医療ライターの熊本美加さん。その体験をマンガ化、医師監修の役立つ情報とともにまとめたのが、『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』です。

「健診受けてるから大丈夫」が命取りに...心肺停止から生還した医療ライターが語る「心疾患はここが怖い!」_img1
漫画/上野りゅうじん


平穏な日々を突然襲った悲劇。こうした話を聞くと私たちは「どうすれば防げるの?」と考えがちですが、熊本さん自身、健康診断は毎年受け、結果も「異常なし」だったというのです。

突然の心疾患には、打つ手はないのでしょうか? 気になる「どうすれば?」に、熊本さんご本人が回答します。


さらに後日、熊本さんを襲った出来事を、本書の漫画から抜粋してご紹介します。愛する猫たちとの平穏な生活を取り戻したのも束の間、強い胸の痛みが再び熊本さんを襲ったのです。

「もしかして、狭心症の発作?!」 果たして熊本さんの運命はーー。

 

心疾患に、遺伝の可能性は?


「家族で心疾患になった人はいません。母はすい臓がんで亡くなり、さらに母の両親も二人ともすい臓がん。母の妹もすい臓がんになりましたが、手術が成功し今も元気です。なので“がん家系”であることは間違いないですが、心疾患になった人はいなかったので、まさか心臓に何かあるとは思っていませんでした」

健康診断でわからなかったの?


「更年期でコレステロール値は若干あがっていたものの、酒飲みのわりに数値は正常範囲。特に自覚する症状もなく過ごしていました」

人間ドックなら見つけられたの?


「私の心停止の理由は『冠攣縮性狭心症』ですが、この心疾患を検診の心電図一枚で見つけることは困難です。担当医には、たとえ心臓CT・心臓エコーを取っていたとしても、冠動脈が激しく縮み痙攣している瞬間でもない限り、異変をキャッチするのは難しいと言われました。

2週間前に訪れていた予兆、そして倒れた日のことを振り返ると、“いつもと違う”と何か異変を感じたら、早めに病院を受診するということに尽きると思います。医師に症状を説明し、ひと通りの検査を受ければ、少なくとも心肺停止の事態は免れたのではないかと思っています」


定期的な検診を欠かさず、健康を意識した生活をしている人ほど「自分は大丈夫」と思ってしまうもの。ですが検診の「正常値」「異常なし」に、心臓は当てはまらないのです。早期発見そのものが難しく、ちょっとした油断も命取りになりかねないのが心疾患の恐ろしいところ。忙しさやストレスを言い訳にせず、どんなに些細な異変も放置しないことが唯一の対策といえそうです。

リハビリ病院を退院後、障害を抱えての一人暮らしに最初は戸惑うも、愛する猫たちと一緒にいられる幸せを噛み締めていた熊本さん。しかしそんな彼女を試すかのように、ある試練がやってきます。

熊本さんを襲った胸の痛み。その意外な正体とはーー?

 

「まさか」は再びやってきた…
10〜11話までを通しで読む!

▼横にスワイプしてください▼

「健診受けてるから大丈夫」が命取りに...心肺停止から生還した医療ライターが語る「心疾患はここが怖い!」_img2

『山手線で心肺停止! アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』
熊本美加・著 上野りゅうじん・漫画 鈴木健之・監修 1320円 講談社

毎年の健康診断では「問題なし」だったアラフィフの医療ライターが、ある朝、山手線で心肺停止に。予兆はなかったのか? その時、生死を分けたものとは? その後、高次脳機能障害となるもリハビリを経て仕事復帰するまでをまとめた「蘇りルポ」をコミック化。主治医の監修付きで実用書籍にしました。自分と大切な人のために、読んでおきたい一冊です。



熊本 美加
東京生まれ・札幌育ち。医療ライター、性の健康カウンセラー。大学卒業後、広告制作会社などを経てフリーライターに。更年期ウイメンズ&メンズヘルス、性感染症予防・啓発、性の健康についての記事を執筆。2019年に電車内で心肺停止で倒れ救急搬送され蘇る体験以後、救命救急、高次脳機能障害、リハビリについても情報発信中。



上野りゅうじん
2017年「うちのへそ曲がり!!」でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵などを担当。『オカン DAYS』(講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理著、講談社)、『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』(KADOKAWA)がある。


漫画/上野りゅうじん
構成/山崎 恵

 

「健診受けてるから大丈夫」が命取りに...心肺停止から生還した医療ライターが語る「心疾患はここが怖い!」_img3
 
「健診受けてるから大丈夫」が命取りに...心肺停止から生還した医療ライターが語る「心疾患はここが怖い!」_img4
 

第1回「山手線で心肺停止!50代医療ライターが見逃した2週間前の予兆「毎日同じ時間に、同じ場所が」」>>

第2回「山手線で心肺停止!救急隊到着までの20分、私の命を繋いだもの「下がるのは“蘇生率”だけじゃなかった」」>>

第3回「「ワシは面倒見れん」「お姑さんの介護が...」昏睡状態の50代女性の横で始まった家族会議が超シビアだった話」>>

第4回「看護師に掴みかかり「ここから出してよ!」心停止で昏睡状態に陥った私が、目覚めたら凶暴化していたわけ」>>

第5回「簡単な「文字の並び替え」が解けない...病気や事故が引き起こす「高次脳機能障害」とは」>>

第6回「突然の心肺停止から脳障害に...“毎朝の予兆”を見逃した私にあった「油断」と「思い込み」」>>