リノベーションとは、家の間取りなどの大規模な改築工事のことです。リフォームが新築の状態にすることを目的とするのに対し、リノベーションは新しい価値を生み出す目的なのだそうです。ミモレ世代で言うなら、若い頃とは違ってきた髪や肌のコンディションに合わせて、ヘアスタイルやメイクを変えるようなもの。同じ人間でもより魅力的に、若い頃にはなかった魅力が出てきたりして。波瑠さん主演で7月18日からドラマ放送される『魔法のリノベ』は、リノベーションによって家族の関係が再構築される様子を描きます。
「ウチの営業に欠けてるのは女性の視点だと思う」男性ばかりの家族経営となったまるふく工務店のリフォーム部に、女性営業が入社。長男の福山玄之介とペアで仕事をすることになったのは、真行寺小梅(しんぎょうじ こうめ)。
「リフォーム部のテコ入れが私の仕事ですから」笑顔で言う小梅とちょっと気弱な玄之介は、依頼主・西崎さんという男性の元に向かいます。今回の依頼は築42年の家。「廊下を挟んだ台所と和室をつなげて広いLDKにリノベーションしたい」というものでした。
「奥様 キッチンはどういったタイプが希望でしょうか?」と西崎さんの奥さんに訊ねる玄之介。すると奥さんは「べつに なんでもいいわ 高くなければ」とだけ答えます。えっ、と言葉に詰まる玄之介に対し、小梅は西崎さんのほうにキッチンカタログを笑顔で渡します。「実は僕 そばを打ち始めたところでね!」と大喜びで受け取る西崎さん。続けて小梅は、まるふく工務店は木工が専門なので、作業台も他より安く作れるとアピール。
帰り道、依頼主の心を一瞬で惹きつけることができた理由を彼女は玄之介に言います。
そして名言が。
営業に入ったら 五感を研ぎすまさなきゃダメです!!
依頼主が何を望んでいるのか。ヒアリングだけで終わらせてはダメで、玄関や部屋の様子、相手の態度などを五感で感じることで情報が得られるのです。
さて、依頼主の妻は今回のリノベーションに関心が無さそうに見えましたが、心の底ではどう思っているのか。すんなりいきそうで難航する成約に「何か言い出しにくい言葉を言えずにいるのかも」と小梅は推測します。そのヒントになるのは、あの家の相続にありました。
リノベーションしたい場所には、夫婦の歪みや問題が潜んでいることも。たとえば寝室。第三話で「夫婦別々に寝たい」と夫に言い出せず、小梅たちに寝室を分けたプランを出してもらいたいと頼む妻。その意外な本音とは?
第四話は、雑然としたアイランド型キッチンを来客から見えないようにしたいと頼む夫と「ダメ主婦だから」と笑いながら自虐する妻のケース。片付けられない原因を突き止めるため彼女にヒアリングすると意外な答えが。
小梅は、いつも依頼主の提案を超えるプランを出してはその家に住む家族みんなを満足させます。特に妻の視点を大事にする点は、採用した社長のもくろみ通り。
読んでいて思い出したのは「顧客が本当に必要だったもの」というイラストです。詳しくは検索で見ていただきたいのですが、システム開発において顧客の要求を叶えることがいかに困難なことか、また、顧客自身も自分が本当に必要とするものがわかっていなかったということを表したものです。これってリノベーションにも言えることではないでしょうか。
家だけでなく夫婦関係も次々リノベさせることに成功していく小梅と玄之介ですが、実は自身の人間関係構築には失敗しています。妻に逃げられた玄之介と、前職で二股をかけられていた小梅。二人の関係もリノベされるのか気になるところです。18日からはじまるドラマの予習に、まずは試し読みからどうぞ!
【漫画】『魔法のリノベ』第1話を試し読み!
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『魔法のリノベ』
星崎真紀 (著)
リノベーションとは、住宅において間取りの変更など大規模な改築工事のことをいう。それを請け負うまるふく工務店は男ばかりの家族経営。父である社長の判断で大手工務店に勤務していた小梅が入社してきた。女性に甘く弱気な長男・玄之介とコンビを組むが⋯⋯。和室を広いLDKにリノベしたい夫と改築したくない妻、若夫婦に立ちはだかる壊せない壁とつぶせない庭⋯⋯など様々な難問がふりかかる!
作者プロフィール
(C)魔法のリノベ/星崎真紀/双葉社
構成/大槻由実子
編集/坂口彩
星崎真紀
1980年に『青猫にファンファーレ』が第2回LaLaまんがハイスクール努力賞に入賞し、『LaLa』7月号(白泉社)でデビュー。1987年に『Dr.クージョ危機一髪』の連載を開始。他の代表作は「黄昏シティ・グラフィティ」「ライオンは起きている」「結婚クッキングBOOK」「ひみつな奥さん」「ステージママの分際で!」など。