「またこの夢だ。」ある特定の場所や人物が何度も夢に出てくるという経験はありませんか? 繰り返し見る夢は別の世界からのメッセージなのかもしれません。男性教師の夢に何度も出てくる少女が気になる『新しいきみへ』。第一話がTwitterで公開されると4.5万いいね! がついた作品で、「どういうことなのか謎が深まる」と先が予想できない展開が話題になりました。最新コミックス第2巻が8月19日に発売されます。

『新しいきみへ』 (1) (ヤングジャンプコミックス)

ストーリーは主人公の謎めいた夢からはじまります。その夢に出てくるのは黒髪ボブの女子高生。

 

彼女はこう言うのです。

君はまた失敗した

この夢を見たのは高校教師の佐久間悟。彼は帰りが遅くなったこの日、妻の浮気を目撃しました。

 

悟はその場から走って逃げ出していました。勢いで電車に駆け込み、思わず東京駅で降りて新幹線に乗り、気づけば仙台に。

 

そういえば高校の時に日本一周したいと思っていた

「あとは風の向くまま 気の向くままに」と、悟は仙台からまた新幹線に乗り、京都・大阪・高知などへ。そして生まれ育った小田原に戻ってきていました。
さびれた故郷の町を歩いていると記憶が蘇ります。

 

何を埋めたのでしょうか。学校行事絡みでもなく、彼女との思い出の何か? いや、それはありえませんでした。

一度もできなかったな 10代のときに彼女なんて⋯

と悟はつぶやきました。すると、後ろから声をかけられます。

 

はっとする悟。彼女がなぜか一瞬、夢に出てくる女の子に思えたからでした。でも、髪の色も雰囲気もよく見るとまったくの別人。否応なく彼女の荷物を運ぶことになり、運んだお礼に食事をご馳走になってしまうはめに。完全に彼女のペースに乗せられ、小田原に来た理由、妻の浮気を目撃したことを彼女に話してしまいます。

 

誘惑に流され、悟は彼女とホテルに入ります。でも、ベッドで抱きつかれながら、妻と出会った時のことを回想していました。

⋯⋯結局、一線は踏み越えなかった彼は、夢の女子高生は妻・亜希の若い頃なのだ、と結論づけます。

 

自宅に帰ると妻の亜希がいて、浮気は誤解だったことが判明します。小田原でのことは一瞬の気の迷い、そして謎の夢も解決した、と思いきや、悟は、2014年春、新学期の入学式の日に再び夢の女子高生の幻覚を見るのです。

君はまた失敗した

このセリフの意味とは? そして、教室で悟は小田原で出会った女子高生と再会します。彼女は主人公が忘れていった結婚指輪をネタに脅し、学校内でも平気で誘惑してきます。彼女の狙いとは一体何なのでしょうか。

第一話だけ読むと「男性教師が女子高生に誘惑され、恋がはじまりそうな話」なのですが、悟や女子高生のセリフのあちこちに奇妙な部分があるのを感じます。また、作中世界は2014年なのですが「新型インフルエンザ」が流行し始めていて、2022年の現在と不気味にリンクしているのにも注目。「自衛隊で感染が広がりました」などのテレビで不穏なニュースが流れる様子が描かれ、ついには主人公の周りでも体調不良の人間が出ます。コロナ禍を知った私たちからすると、感染症がだんだんしのび寄るこの感じは真に迫るものがあります。

恋愛モノなのか、SFなのか、それとも⋯⋯? これ以上はネタバレになるので控えますが、1巻の終わりまで是非読んでみてください! その衝撃的な巻末に2巻がすぐに読みたくなること間違いなしです。

 

【漫画】『新しいきみへ』第1話を試し読み!
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『新しいきみへ』
三都 慎司 (著)

妻の浮気を誤解した高校教師の佐久間悟。傷心のまま旅し、故郷・小田原でひとりの少女と出会う。不貞を働きそうになるが正気に返って再び日常へ。新年度、担任するクラスに見覚えのある姿が。「相生亜希です はじめまして」 “あの日”の少女は魔性の魅力を携え、悟に迫る。教師と生徒、禁断の恋愛劇が開幕!


作者プロフィール 

三都慎司
『アレグロ』でアフタヌーン四季賞2015年夏のコンテスト四季賞を受賞し、同作が『月刊アフタヌーン』(講談社)2015年10月号に掲載されてデビュー。その後2017年に同誌で開始した『ダレカノセカイ』で連載デビュー。代表作は『ハヤブサ』(講談社)『ダレカノセカイ』(講談社)『アルマ』(集英社)など。現在『月刊ウルトラジャンプ』で連載中の『新しいきみへ』の2巻が8/19に発売。
Twitterアカウント:@ShinjiMito

 


構成/大槻由実子
編集/坂口彩