他人事として自分の話を聞いたら「えー、ヤバイね、そのひと」と言うこと請け合いなのに、なぜだか自分は大丈夫な気がしていました。まさにヤバイのは私。今となっては「何でやねん」と、関西人でなくとも秒で突っ込みたい浅慮さですが、できると思う心と、こうしたいのだ! という強い気持ちがあると、幾つになっても頑張れるのかもしれません。

まず語学の問題ですが、「40歳から始めるフランス語かあ……(遠い目)」と思ったものの、もともと英語で語学勉強に慣れていたのもあり、パリに到着してからは、腹を括って毎日語学学校に通って勉強し、何とか生活できるくらいのフランス語はできるようになりました。

40代独身で、海外移住は無謀ですか?【パリ人気YouTuber井筒麻三子】_img0
歳を取ってからの語学習得が大変なのは確か。でも、やる気があれば、幾つになっても上達できることも確かです。

仕事においては、ロンドンになくてパリにあるメリットが私を救ってくれました。というのもパリには、フランス語が話せる日本人はいっぱいいても、英語が話せる日本人がそんなに多くないのです。そこで、英語でできるインタビューや通訳、翻訳の仕事などをあれこれ引き受け、ついでに他にもできそうな仕事は何でもして(アルバイトでお店番をしたり、日本語を教えてみたり、なんてこともしました)食いつないでいるうちに、8年ちょっとが過ぎました。まさに、芸は身を助く。図らずもニッチマーケットを開拓できたという幸運はあるものの、私を例として挙げて良いならば、40歳からの移住はやや無謀でも、絶対無理ではないと言えるかもしれません。

 

それにしても、たどり着き方がちゃらんぽらんだったので、パリへの憧れなどは毛頭なく、なんなら微妙に「フランス人って意地悪なイメージしかないんだけど、生活していけるのかな……」ぐらいに思っていました。ところが住み始めてみると……おやおや? この国は結構面白いぞ? ということを発見。それまで知っていた「お洒落で素敵なパリ」というイメージとはまた違う、人間ぽくて自然なこの地の魅力に、気がつけばすっかりハマってしまいました。

そんな私の好きなフランスの側面をYouTubeで発信し始めたところ、気がつけば26万人ものフォロワーさんが出来、このエッセイ連載まで始めることに。人間、いくつになってもどこに転がるかわからないものです。だって、よもや自分がユーチューバーと呼ばれる日が来るとは、夢にも思っていませんでしたから!

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大好きな蚤の市での一コマ。最初はレシピ紹介でスタートしたYouTubeチャンネルの視聴回数がぐんと伸びたのは、蚤の市へ行く様子を映したVlog動画をアップしたことからでした。

とはいえ文筆業の端くれという矜持は多少なりとも持ち合わせているので、こちらでは私が、この面倒くさくとも愛おしい国に暮らすことで知り得た、さまざまな情報や体験を文章と写真(こちらはオットのひとによるもの←パリに来てから知り合い、結婚しました)で、楽しくお伝えしていけたらと思っています。どうぞお見知り置きのほど、よろしくお願いします!
 

撮影/Yas

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