努力や計画性があることが良いとされてきたミモレ世代。目標を立ててクリアするために頑張ることを当たり前のようにしてきた人も多いのでは。でも、仕事や恋愛・結婚の場で目標にとらわれすぎると相手をおいてきぼりにしてしまうかも。1巻が7月13日に発売された『結婚は墓場かゴールかロマンスか』は、そんな女性が挫折を知るところからはじまるストーリーです。

これまでの人生、努力で目標を達成してきた。部下の悩み相談を時間でスパッと切り上げ、予定(スケジュール)を淡々とこなす沢渡依子・30歳。感情があまり表に出ず、職場では「中身がAI」と陰口を叩かれている彼女の日常はいつも計画的。3年付き合った彼氏からは今夜プロポーズされる予定でしたが、彼からは思わぬ言葉が。

 


「別れよう」

 

あっさり振られるもその場では表情を変えずにいた依子でしたが、帰宅するなりボロ泣き。涙を拭いて「結婚 無理 なぜ」なとど検索してわかったのは結婚するって難しいのだということ。

 

私の人生 他人に「無理」なんて言わせない。依子は結婚までの計画表を作成し始めます。
でも3ヶ月過ぎても、計画表のSTEP1「相手と出会う」に苦戦する彼女。婚活パーティーや結婚相談所などを活用しているのにうまくいかない。元彼に「私は結婚には向いてない」と言ったのはどうして? と訊ねると、「逆に聞くけど、お前は本当に結婚したいの?」と聞き返されます。

あれ? 私⋯⋯「できない」って決めつけられてムキになってただけなの?

これが挫折なの? ふと疲れを覚えた依子は、婚活パーティーの入り口で一人の男性と出逢います。彼はエステティシャンの結城慧士。初対面なのにスキンシップが激しく、「選ぶ相手に困ったらオレに一票入れてよ」見るからにチャラくて軽ーい雰囲気の彼は、こんな殺し文句を言います。
 

 

今までもこれからも相容れないタイプ、とチャラさに引くも、相手女性の婚活プロフィールシートを全く見ない彼。「データだけじゃわかんなくない?」

 

「状況打破」の予感を感じ、思わず彼の番号を選んでしまった依子。これでまずは、「出会い」の目標は達成。しかしすんなりうまくいくわけがなく、彼の正体とは⋯⋯。

頭でっかちな女性がチャラい男性エステティシャンに振り回されるのかな、と予想していましたが、依子たちの言動を見ているとそう言い切れない奥深さがあります。

努力と計画性で人生を乗り切ってきた依子の姿は、「頑張れば報われる」と信じてきたミモレ世代には我が事のようにささるはず。計画表のSTEPを達成する度にチェックをつけて満足げになったり、デートの行程を時間単位で決めて相手に渡すといった徹底ぶりにはちょっと驚きますが、彼女がここまでプランニングにこだわるのは、失敗するのがこわいから。損したくないという打算もあるのかもしれません。

 

計画通りに進むことばかりを考えて相手の気持ちを考えない依子に対し、慧士はエステティシャンらしく相手の心身の様子を読み取るのが上手で、チャラいだけでなく某CMの「ビューネくん」のよう。でも、実は似ている部分がある二人。慧士が自分の店で依子をマッサージしながら「頑張ってるんだね」とねぎらった後の言葉でわかります。

 

見えない努力や苦労を慮るこの言葉はきっと彼女の素の部分。こちらもグッとくるのですが、この後、慧士の紳士的なところがちら見えするシーンがまたいいんです!

 

普段は軽くてチャラいことを言ってるのに、とっさの行動は紳士的。人の本心は言葉より行動に出ると言うから、彼は信じられる⋯⋯! とつい思ってしまいます。でも二人には決定的な違いがあって。結婚は「ゴール」だと思っている依子と、「ロマンス」だという慧士のズレ。そして、依子の努力と計画は報われるのでしょうか?

 

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『結婚は墓場かゴールかロマンスか』
はるこ(著)

今までの人生、努力と計画性で目標を達成してきた“鉄の女”沢渡依子。 もちろん結婚もーーと思っていた矢先、「お前に結婚は向いてない」と恋人にフラれてしまう。 傷心の依子は、“自分は結婚できる”ことを証明するため、“結婚計画表”を作り婚活を始めるも失敗を重ねる日々⋯⋯。 そんな中、軽くてつかみ所のないエステティシャン・結城慧士と出会い⋯⋯。 恋愛不感症女子×謎多きチャラ男の恋愛攻防戦!


作者プロフィール 
はるこ/美波はるこ

『結婚は墓場かゴールかロマンスか』(講談社)はマンガアプリPalcyにて連載中。
代表作に『酒と恋には酔って然るべき』(秋田書店)、『隣の男はよく食べる』(集英社)、『色恋は、煮ても妬いても』(ぶんか社)など多数。



構成/大槻由実子
編集/坂口彩