高校生の妊娠を描いたマンガがバズるワケ


先日mi-molletに掲載された、『あの子の子ども』というマンガ紹介記事が多数の「いいね」を獲得していました。これは、高校生カップルの妊娠と、その知識不足からくる混乱を描いたもの。なぜなら2人は欲望のままに性行為を重ねるものの、その先にある妊娠や出産にはあまりに無自覚だったのです。

でもこれは、高校生に限ったことではないのではないでしょうか。この坂本選手の相手女性もそうですが、多くの日本女性はそれが自分の体を傷つけることになるかもしれない行為だということを、あまりにも自覚していません。そして妊娠してしまったときも、産む産まないの決定権をいとも簡単に相手男性に委ねてしまう……。作者の蒼井まもるさんはこれを、何も教えてこなかった社会の責任が大きいと考え、性教育の普及の一助となればとこの漫画を描き始めたそうです。

香川照之と坂本勇人。人々の決定的な反応の違いは“中絶”にあった?_img0
写真/Shutterstock

そう、日本女性たちはなにも教えてもらえなかったから、今もって「自分の体のことは自分で決めたい」という意識すら持てていないのです。そして自分の体を傷つけられる悲しさを、怖さを、言語化して伝えることすらできないのです。まさに、少し前に社会現象となった姫野カオルコさんの小説のタイトルと同じで、「彼女は頭が悪いから」……。ネット上に飛び交う無数の非難のコメントは、そんな、自分を守る術さえ与えられていない日本女性たちの魂の叫びのように私には聞こえたのです。

 

取材・文/山本奈緒子
構成/坂口彩
 

香川照之と坂本勇人。人々の決定的な反応の違いは“中絶”にあった?_img1
 

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