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アンバサダーを務めているドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』と、『スペンサー ダイアナの決意』が公開されます。
以前、ダイアナ妃の人生を追いかけるテレビのドキュメンタリー番組でパリやロンドンを訪れたり、ナオミ・ワッツ主演の『ダイアナ』の日本語吹替版を担当したこともあり、このお仕事をいただいたことをとても光栄に思っています。

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予告編のナレーションを担当した『スペンサー』は、チャールズ皇太子との仲が破綻して、摂食障害を患っていた頃のダイアナ妃の葛藤に焦点が当てられた映画です。
描かれているのは、エリザベス女王の私邸でロイヤルファミリーとともに過ごすクリスマス休暇の3日間。
実話をベースにしているとは言っても、不安定な精神状態を表すように現実と非現実が混じり合う作りになっていて、これは本当にあったことなのか、それとも監督が創作したことなのか、不思議な感覚になる場面がいくつもありました。

 

エリザベス女王の私邸のそばにあるのは、ダイアナ妃が子供時代を過ごしたスペンサー家の邸宅。古くなった生家にこっそり入っていく場面では、かつて処刑された悲劇の王妃のゴーストが現れて、ダイアナ妃は自分の姿を重ねていきます。
チャールズ皇太子の不倫相手だったカミラと同じパールのネックレスを贈られたことに憤って、それを引きちぎる場面。夜中に色とりどりのケーキを口にする場面、そして息子たちに狩猟はさせたくないと主張する場面……。

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写真:1.4.5 Pablo Larrain、2 Frederic Batier、3 Claire Mathon

この映画だけを観ると、ダイアナ妃が神経質でわがままな若い女性に見えるかもしれません。でもなぜ彼女がこれほどまでに追い詰められ、ストレスに押しつぶされそうになってしまったのか。
その理由は、婚約から突然の事故で亡くなるまでを追いかけた『プリンセス・ダイアナ』を観ると理解できるのではないでしょうか。

数々の映像を繋ぎあわせたこのドキュメンタリーからは、まだ20歳の女性が突然イギリスの顔として公務にあたらなければならない辛さや、任務の重さが伝わってきました。
そして常にマスコミに追いかけられ、好き勝手なことを書かれて報道されてしまうことの残酷さも描かれています。

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写真:1 Kent Gavin、2 Michael Dwyer / Alamy Stock Photo、3 Jeremy Sutton-Hibbert / Alamy Stock Photo

皇太子の不倫だけではなく彼女自身のスキャンダルも取り上げられていますが、覚悟を決めて人生を生き切ったダイアナ妃はやっぱり最高にかっこいい。離婚後、色々な声があるなかで慈善活動に身を捧げ、危険な地雷のなかを歩く活動をした姿は、何年たっても大きな影響力を持っていますよね。
『スペンサー』の予告編にあるように、「私の道は、私が決める」を貫き通した人。だからこそ亡くなったときに、あれほどまでにたくさんの人たちが涙を流したのではないかと思います。
エリザベス女王が本当はダイアナ妃のことをどう思っていたのか、胸の内を聞いてみたかったなとも思いました。

そして『プリンセス・ダイアナ』と『スペンサー』、どちらからも伝わってくるのは、息子たちへの愛情の深さ。息がつまるような場面が続く『スペンサー』でも、クリスマスの夜の息子たちとの温かい時間が描かれています。

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写真:Pablo Larrain

ぜひ2本合わせて鑑賞することで、決意の人、ダイアナ妃の人生に触れてみてください。

<映画紹介>
『スペンサー ダイアナの決意』

10月14日(金)、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

1991 年のクリスマス。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の夫婦関係はもう既に冷え切っていた。不倫や離婚の噂が飛び交う中、クリスマスを祝う王族が集まったエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウス。ダイアナ以外の誰もが平穏を取り繕い、何事もなかったかのように過ごしている。息子たちとのひと時を除いて、ダイアナが自分らしくいられる時間はどこにもなかった。ディナーも、教会での礼拝も、常に誰かに見られている。彼女の精神はすでに限界に達していた。追い詰められたダイアナは、生まれ育った故郷サンドリンガムで、今後の人生を決める一大決心をする――。

主演:クリステン・スチュワート(『トワイライト』シリーズ、『チャーリーズ・エンジェル』) ジャック・ファーシング(「風の勇士 ポルダーク」)、ティモシー・スポー ル(『英国王のスピーチ』)、サリー・ホーキンス(『シェイプ・オブ・ウォーター』)、ショーン・ハリス(『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』)
監督:パブロ・ラライン(『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』 )
配給: STAR CHANNEL MOVIES
後援:ブリティッシュ・カウンシル 読売新聞社
© 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED


『プリンセス・ダイアナ』
9月30日(金)TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー

おとぎ話のように見えた馴れ初めから、歴史に残るロマンティックなロイヤルウェディング、息子たちの誕生という幸せの絶頂、そんなダイアナをどん底に突き落とした夫チャールズ皇太子の不倫、耳を疑う彼女自身のスキャンダル、暴かれた王室の秘密、エリザベス女王との関係、世間を驚かせた別居と離婚、生まれ変わったかのようにその身を捧げ政治さえも動かした慈善活動。「史上最も人々に愛されたプリンセス」の衝撃的な突然の事故死と、全世界が悲しみに打ちひしがれた葬儀まで、没後25年を迎えたダイアナのドキュメンタリー決定版。

監督:エド・パーキンズ (Netflix 『本当の僕を教えて』 製作:サイモン・チン、ジョナサン・チン(アカデミー賞 ®2 度受賞『シュガーマン 奇跡に愛された男』『マン・オン・ワイヤー』)
2022 年/イギリス/ 109 分/英語/カラー/ビスタ/ 5.1ch /原題 The Princess /日本語字幕:佐藤恵子/字幕監修:多賀幹子 後援:ブリティッシュ・カウンシル 読売新聞社 diana movie.com
© 2022 DFD FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

取材・文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)

 

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