副業・複業。「リスキリング」(職業能力の再開発)への注目もあり、いまこそ挑戦してみたいですよね。そうは言っても「ハイキャリアでチャンスに恵まれた人の話?」と、まだどこか他人事に聞こえるのも事実。

今回お話を伺う関谷奈美さんは、岐阜県在住、元専業主婦、小・中学生のお子さんを育てているお母さん。その彼女が、ご主人の転勤先で、ゼロから試行錯誤の末に脚本家の渡辺あやさん、映画監督にして俳優の須藤蓮さんとタッグを組む、フリーランスの映画のパブリシスト、そして字幕翻訳者として活躍するに至った経緯を伺います。

一度仕事を離れた方、これから「リスキリング」したいと思った方にとって、ヒントが隠れているかもしれません。

「時給0円の副業」に意味はある?地方在住・2児の母・専業主婦の“下剋上副業作戦”_img0

縁も所縁もない岐阜県に、夫の転勤でやってきた関谷さん。そんな彼女が手がけている仕事は、映画の宣伝、字幕翻訳、インタビューの文字起こし、英会話教室の立ち上げなどで、まさに「複数のわらじさん」。

自身を「自信がなくへっぴり腰で、悩んでいた」と評し、一度は専業主婦として子育てに集中していた彼女が、どのようにいくつものお仕事を持つに至ったのでしょうか。

 

「新卒での就職活動は、予想外のこと続きでした。当時は就職氷河期。そんな中で大学の同級生でもある当時の彼氏……現在の夫ですが、彼が研究者を目指して大学院受験を表明。2人で就職したら結婚しようと思っていた予定はすっかり先が見えなくなりました。

一方で、私は受からないだろうと思っていた大手映画配給会社に奇跡的に採用されます。選考は6回、1000人以上の応募のなかから内定したのはたった3人。映画に思い入れはあるけれどマニアとは程遠い私がどうして採用されたのか……事実、他の大手大手映画配給会社はあっさり不採用でした」

関谷さん曰く「きつねにつままれたような気持ち」で飛び込んだ映画業界。

どちらかと言えば恵まれていて呑気な女子大生だった関谷さんにとって、まさに「人生の修行時代」に突入します。

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地方在住の専業主婦が、もう一度「好きを仕事にする」軌跡をご覧ください。
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