ビジネスへの応用② ストレスから解放される


仕事が終わり、ホッとひと息つく夕食後や、週末のくつろぎの時間。頑張った自分へのご褒美として、セルフケアティータイムを取り入れてみてはいかがでしょうか。

多忙なビジネスパーソンも週末の朝くらいは、お気に入りの紅茶をベッドトレイに載せて、気持ちのおもむくままに、ココロとカラダを開放する「癒やしのお茶時間」を設けてもいいかもしれません。

セルフケアティータイムには、紅茶も処方する気分でセレクトします。

紅茶の持つ香りには、メンタルに作用し、ストレスを軽減させる働きがあることが科学的に立証されています。

嗅覚から得た香りの情報は、脳内で本能を司る大脳辺縁系にダイレクトに伝わり、乱れたバランスを整え、脳の快楽物質であるα波を引き出す効果があります。また、香りだけではなく、飲むことによって、テアニン成分からのリラックス効果が得られ、感情をリセットするのに有効な手段でもあります。

リラクゼーションには、脳を休めるために効果的な香り高いお茶がオススメ。紅茶をカップに注ぐ瞬間に、フワァ〜っと香気が立ちのぼり、穏やかな気分になります。

写真:shutterstock


イギリス人は自然な香り、フランス人は人工的な香りを好む


紅茶の香りには、大きく2種類あります。

ひとつめは、茶葉が本来持ち合わせている「香気」と呼ばれる自然なアロマ。

解明されている香気成分は500種以上ともいわれています。花のような香りを放つゲラニオール成分、若葉のような香りを放つヘキセノール成分、ちょっと珍しいものだと刺激的なサロメチール臭を放出するメチルサルチレート成分などもあります。

ふたつめは、人工的に香りを着香した「フレーバードティー」。

着香茶の発祥は中国。古くなり香りが弱くなった茶葉を、何とかして高値で売りたいと考えた中国人は、茶葉がまわりの香りを吸収しやすいという特性を活かし、花や果実、香辛料などと一緒に保管することで、香りを移す製法を考え出しました。ジャスミンティーに代表されるこの着香方法は「センテッドティー」と呼ばれます。

香りの嗜好は国によっても人によっても、好き嫌いがはっきりとわかれます。イギリス人は紅茶の自然な香気のアロマを好み、フランス人は人工的なフレーバーを好む傾向にあります。たとえば、ローズティー。自然なアロマと人工的なフレーバーは全くの別ものです。

人工的な香りが苦手なかたは、茶葉に乾燥した花びらをブレンドしたものをセレクトしたり、紅茶にバラのエディブルフラワー(食用花)を浮かべて、オリジナルブレンドを作ってみるのもオススメです。

心地よい紅茶の香りに包まれて、癒やしのティータイムをお過ごしください。

ハーバルブレンドティーをいれる
その日の体調や気分によって、お気に入りの茶葉にひとつまみのハーブを加えて、特製オリジナルフレーバードティーを愉しみましょう。

基本レシピ<茶葉3g・熱湯180ml>
① ティーポットに、茶葉と一緒に好みのドライハーブをひとつまみ入れて、熱湯を注ぎます。
② フタをして蒸らします。
③ 茶葉を濾しながらティーカップに注いだら、香り、水色、味を五感で堪能します。

著者プロフィール
藤枝理子(ふじえだ りこ)さん:
ティースペシャリスト・英国紅茶&アフタヌーンティー研究家。大学卒業後ソニー株式会社に勤務。会社員時代のお給料と休みはすべて、日本全国、そして海外の茶博物館・陶磁器美術館・ティーロード探検にあてる。紅茶をライフワークにしたいと一大決心をして仕事を辞め、イギリスに紅茶留学。本物の英国文化としての紅茶を、一般家庭の暮らしから学ぶ。同時に、ヨーロッパ各国の生活芸術を研究。帰国後、東京初となる自宅開放型の紅茶教室「エルミタージュ」を主宰。英国スタイルで紅茶の歴史・文化・マナーをトータルに学べる新しいトレンド「大人の教養サロン」と注目を集める。サロンには20年間で2000人以上の生徒が訪れ、常にウェイティングが続く。2006年に初の著書『サロンマダムになりませんか?』を出版。起業スタイルがメディアで話題となり、サロネーゼ・サロンマダムブームの火付け役となる。現在、テレビ・雑誌をはじめ、企業・大学での講演やコンサルタントとしても活躍。著書に『もしも、エリザベス女王のお茶会に招かれたら?』(清流出版)、『プリンセスになれる午後3時の紅茶レッスン』(メディアファクトリー)、『予約のとれないサロンのつくりかた・育てかた』(辰巳出版)、『英国式アフタヌーンティーの世界』(誠文堂新光社)など多数。

『仕事と人生に効く 教養としての紅茶』
著者:藤枝 理子 PHP研究所 2420円(税込)

テレビや雑誌等で話題を集める「紅茶の専門家」が、ビジネスに活かせてかつ、生活に彩りをもたらす紅茶の知識と知恵、そして愉しみ方をわかりやすく教えます。緑茶・烏龍茶など紅茶以外の「茶」にも言及していて、中国・日本における茶の歴史や、国ごとのお茶文化の違いなど、紅茶好きでなくても興味をそそられるエピソードが満載。エンターテインメントとしても読みごたえのある一冊です。


構成/さくま健太