日本は子連れの母親や子どもに冷たい、とよく言われます。電車や外出先で迷惑がられた体験談がネットでバズったり、子連れのお母さんが街中で申し訳なさそうにしている様子も見かけます。でも、そんなに世の中の人たちって冷たいのでしょうか⋯⋯? 作者・るしこさんが育児中にリアルで遭遇したエピソードを描いた『ちっちゃなやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記』は、この世界にはまだまだ優しさが残ってるよー! と叫びたくなるエピソードがたっぷり詰まった一冊です。


妊婦に席を譲ってくれる人に思うこと


妊娠中、電車やバスで席を譲られることが多かったるしこさん。老若男女問わず、時には遠くから声をかけられて譲ってくれる人もいます。嬉しいけれど、申し訳なさを感じる、とつぶやく彼女に夫のぽよさんはこう言います。

 

今はお礼を言って座ればいいのよ、とアドバイス。かつて譲る側だったるしこさんに、優しさってそうやって巡るんじゃない? と伝えるぽよさん。「恩送り」「ペイ・フォワード」という言葉を思い出しますね〜。

 

赤ちゃんをあやしたい人も結構いる


息子さん=ジュニアが産まれて子連れで出かけるようになってから感じたのは、抱っこの時に赤ちゃんをあやしている人が結構いるという件! こんな人も。

 

親と目が合うとしれっと真顔に戻るので気づきにくいけど、こっそりみんなやってました。

会いたい、触りたいけど我慢。そのワケは⋯


子連れだとじーっと見られることもしばしば。え、うちの子なんか迷惑かけてる? と心配になりがちですが、実はその中にはこんな理由の人もいるのかも、とはっと思わせられるエピソード。

 

ジュニアくんを見て、なかなか会えない初孫を思い出していた女性。子どもはすぐに大きくなってしまうから、今ごろはきっとこれくらいの大きさなんだな、と思いを馳せていたのでした。るしこさんは「きっと世界中に同じ思いの人はたくさんいる、更に辛い境遇の人も」と気づくのでした。
そして、コロナ禍ではこんなコミュニケーションを繰り出す人も。

 

おしゃべりをして盛り上がってもソーシャルディスタンスをキープ。ジュニアくんへの気遣いが感じられます⋯⋯!


育児の先輩からの、真理を突いたひと言に涙


お喋りが上手くなったとともにイヤイヤ期に突入した二歳のジュニアくん。買い物に来たスーパーで地べたに伏せるわ大声で騒ぐわで、パンを買い忘れたけどもう戻る気力がなくなっていた帰り際のるしこさん。するとすれ違った店員さんが「こんにちは〜 おいくつ?」と話しかけてくれました。

 

近所や街中の人たちに声をかけられ、成長ぶりを愛でられるジュニアくんの姿に、子どもはこうやって社会で育てるものだよね、と微笑みながらうなずいてしまいます。

ほっこりと優しい気持ちになれるだけでなく、人の優しい面を描きとめる作者のるしこさんもまた愛がある人なのでした。優しさの循環が生まれているのです。育児で心身がパンクしそうになっているお母さんだけでなく、コロナ禍で人とのふれあいが減っていた数年を過ごした人、全員がほろっときてしまうんじゃないでしょうか。マスクをして! 距離をとって! と言われ続けた日々で足りなかったのは、こんな人の情にあふれたさりげない交流。でも、もうそろそろみんな解禁していいですよね、通りすがりの優しさを。なんといっても優しさは無料(タダ)だから。あふれ出してきたら遠慮せず出しちゃっていいのです!

 

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『ちっちゃなやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記』

るしこ (著)

SNSで“癒やされる”と子育て世代以外からも大反響! ヘトヘトになっても、ほんのちょっとしたひと言で救われることもある。育児や日々の暮らしでヘトヘトなあなたに届けたい、通りすがりの優しさを伝えるコミックエッセイ。

るしこ
関東在住のマンガを描く主婦。2019年に長男を出産、一児の母となる。現在はTwitter中心にほっこり育児・家族マンガを投稿しており、スマホ向けマンガサイト「マンガよもんが」にて『今日のぽよるし』シリーズを連載中。初の著書『ちっちゃなやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記』(KADOKAWA)も好評発売中。
Twitterアカウント:@39baby_com


©るしこ/KADOKAWA
構成/大槻由実子
編集/坂口彩