幸せの形は、人それぞれです。でも、自分とは違う生き方の人が幸せだと「面白くない」と感じてしまう人がいます。たとえば、「結婚している人が、独身で自由を満喫している人を認められない」なんてこともあれば、逆も然り。
なぜ、その人は、自分とは違う生き方の人を認められないのでしょうか。また、そういう人に出会ってしまったときは、どんな風に付き合っていけばいいのでしょうか。

 

なぜ、人の幸せを認められないのか

 

自分とは違う生き方を認めたくない人には色々なタイプがいますが、相手が幸せだと「困る」と思っていることが意外とあります。「自分の生き方は間違っていたのかもしれない」という不安を抱いてしまうからです。
そういう人は、日頃から、「自分は幸せなのだ」「自分は正しい生き方をしているんだ」と自己に“言いきかせている”ところがあります。それは、幸せを“実感している”のではありません。そう思い込みたいところがあるのです。

逆に、自分の生き方に納得し、幸せを実感している人は、自分とは違う生き方で幸せになった人に対して、素直に「よかったね」と思えます。
そもそも幸せは「主観」なので、その人が幸せだと思っていたら、他の人が否定しようが、その人は幸せ者です。それを分かっている人は、他の人が自分とは違う生き方を選んでも、「それが、その人にとっての幸せなのだから、それでいいのだ」と理解を示せるのです。

さらに言えば、本当の幸せ者は、“自分にとっての幸せ”をつかんでいることが多いです。
逆に、「幸せの形は人それぞれ」だというのを理解していないと、みんなと同じような幸せをつかもうとして、“一般的な幸せ”を追いかけてしまいます。それでは、自分らしく幸せになることはできないかもしれません。


“一般的な幸せ”や“典型的な成功モデル”を目指す人は、意外と多い


今まで私たちは、メディアなどを通して、「こういう生き方が幸せなのだ」という刷り込みをされてきているところがあります。たとえば40、50代の世代は、10代~20代のころにトレンディドラマが流行り、影響を受けてきたという方も多いでしょう。
さらに、当時は、「玉の輿に乗るのが幸せ」とか「女子アナになって野球選手と結婚したら“勝ち組”の人生」といった内容の紹介をされることが多く、やみくもにそういう“典型的な成功モデル”を目指す人も少なからずいました。

でも、実際に玉の輿に乗っても、またテレビ局のアナウンサーになって野球選手と結婚しても、幸せになれるのかというと、人によります。そういう生き方が向いているのかどうか、また結婚する相手との相性などでも随分、変わってくるでしょう。

誤解しないでいただきたいのが、「お金持ちと結婚すること」「アナウンサーになること」「野球選手と結婚すること」を“いけない”“間違っている”と言っているわけではありません(※しかも、これは一例に過ぎません)。
もし幸せになるためにそれを目指す場合は、「人によっては、自分に合わなくて、幸せになれない可能性がある」ということです。

では、なぜそういった“一般的な幸せ”や“典型的な成功モデル”を手に入れようとする人がいたのかというと、「“自分にとっての幸せの形”がまだ分かっていないから」ということもあれば、「周りの人に『この人は幸せを手に入れた人なんだ』と称賛されたいから」というのもあるでしょう。
後者は、「自分が幸せを実感したい」という以上に、「人から“認められたい”」のです。

「本当の自分」とズレていると、幸せになれない


世間体ばかりが気になり、人から“幸せな人”に見えるように自己演出をする人は意外といます。また、世間が幸せだと認めるのは、「分かりやすい“幸せの形”を手に入れた人」が多いので(※人とは違う“変わった幸せ”を手に入れた人は認められにくい)、見栄をはってしまう人ほど、“自分に合った幸せ”よりも“定番の幸せ”を目指してしまうところがあります。
その結果、たとえ周りの人から「幸せを手に入れた人」だと認められても、本人は空虚感を抱いてしまっていることが意外とあります。そういう人は、「本当の自分」とはズレてしまっているのです。

自己を見失いながら“定番の幸せ”を手に入れた人は、それが「正しいこと」だと信じたがっていることが多いので、「本当は幸せではない(幸せを感じていない)」なんてことは認められません。だって、それを手に入れるために努力したのだから。
そんなときに、「自分とは違う生き方で幸せになっている人」を見かけると、心が揺さぶられてしまいます。それで、無意識に「相手は間違っている」ということにしておきたくなってしまうのです。

たとえば既婚の人が、独身生活を楽しんでいて幸せそうな人に対して、「結婚はいいものだ」「家族は大切だから」と婚活を勧めてきたり、「子供はかわいいから、作ったほうがいい」などとお節介なことを言ったりして、「自分が正しいと思う幸せ」を押し付けてしまうのも、それが原因であることもあるかもしれません(もちろん、逆も然り。このパターンは少ないですが、もし独身者が既婚者に対して、わざわざ「独身のほうが自由で幸せだから、独身になったほうがいいよ」なんて勧めてくる場合は、相手の生き方を認めたくないのです)。

では、そんな「自分とは違う生き方を認められない人」とは、どうやって付き合っていけばいいのでしょうか。次のページで紹介します。

次ページ▶︎ 「他人の幸せを認められない人」への関わり方

【漫画】職場の先輩が「結婚」を薦めてくる理由
▼右にスワイプしてください▼