5. 医療刑務所という新ジャンル開拓に期待!
『ここでは誰もが嘘をつく』嶋中潤

装丁の色使いがおしゃれでとても好み!『ここでは誰もが嘘をつく』嶋中潤

医療ものも警察ものも大好物な人におすすめしたいのがこちら。「医療刑務所」という一般の刑務所では収容できない、専門的な医療行為を必要とする受刑者を収容し、治療を行う刑務所が舞台の長編小説です。主人公は、そこで矯正医官として働く2年目の金子由衣(かねこゆい)28歳。無駄におっちょこちょいでもなく、過剰に一本気でもない淡々としたヒロイン像が今っぽい。

 

医療ものと犯罪ものをミックスできる「医療刑務所」っていう新たなジャンルがまだあったのか! そこに収容されている受刑者は、刑の重さもいろいろですが、高齢だったり、重篤な病気を抱えていたり、さらに嘘をついたり、暴れたりと世話が焼けるにもほどがある。誰かがやらなきゃいけない仕事をする由衣先生、大変すぎるよ〜と心配になりながら、医師同士の人間模様や所内で次々起こる事件にグングン引き込まれます。ある受刑者の死をめぐって、事故か医療過誤か殺人かーーという医療ミステリー要素もあり、各章のバラバラの話かと思っていたエピソードが繋がる構成も見事。

大至急ドラマ化して欲しいし、シリーズ化して欲しいです。由衣先生はだれがいいかなあ。パッツンボブで華奢で歩くのが早くて、芯がある感じで……少し前なら高畑充希さん、波瑠さんがイメージですが、いまなら今田美桜さん、浜辺美波さんあたりでしょうか。釣り好きの皮膚科医の熊谷先生は、大泉洋さんかな。配役妄想がはかどります!!

以上、2022年に刊行された新作の中から5作品ご紹介しました。気になる作品ありましたでしょうか。
次回は、2022年ベストブックを発表予定です!

 

Podcast「真夜中の読書会〜おしゃべりな図書室」でも最近のおすすめの本について語っていますのでぜひチェックしてください。