話しながらの飲食に潜むリスク


山田:また、お正月にご家族で集まると、話しながら飲食をすることもありますよね。多くの方が普通にされていることですが、「話す」ということはつまり、「空気の通り道を開けている」、ということです。窒息リスクという観点から言えば、「お喋りしながら食べる」というのは実は少し注意が必要なのです。

「喋る」「飲み込む」を交互にするということは、空気の通り道の開け閉めを繰り返している、ということです。ですので、飲み込んだときに間違って誤嚥(ごえん)する、ということに繋がりかねません。

 

編集:「喋りながら食べる」は、ごく当たり前にしていた行動だったので、意外なリスクに驚きました。こう考えると、お酒を飲みながらの飲食には気をつけたいポイントが多いですね。

山田:おっしゃる通りです。さらに付け加えるならば、食事中の姿勢も、できるだけ「前かがみ」にならないようにしていただきたいと思います。というのも、空気の通り道は、食道の前側についています。つまり、前かがみで食事をすると、重力によって、食べ物が空気の通り道に落ちやすくなってしまうのです。

編集:「姿勢よく食べること」は、窒息リスクを減らすことにもつながるのですね。普段から気をつけたいことが、意外に多くありました。この時期に、改めて学ぶことができて良かったです!

山田:そうですね。特に、ご高齢のご家族がいらっしゃる場合には、十分気をつけていただき、楽しい年末年始を過ごしていただけたらと思います。

編集:ありがとうございました!
 

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構成/新里百合子
 

 


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