ホテルにただ泊まって一人でのんびりしたい⋯⋯。家族やお金のことを考えるとなかなか叶わぬ夢の「ひとりホテルステイ」。『いつかティファニーで朝食を』で、美味しい朝食のお店にスポットライトを当てたマキヒロチさんが『おひとりさまホテル』で描くのは、ひとりホテルステイの楽しさ。1巻が1月7日に発売されたばかりの今こそチェックしておきたい作品です。
「このままここに住めたらいいのにな」チェックアウトの日はいつもそう思っていた。子どもの頃、旅行に行って遊んだ後にホテルの部屋でのんびりするのが好きだった史香は大人になった今、ホテルの設計会社で働いています。
仕事の研究も兼ねて月イチでホテルステイをする史香。今泊まりたいのは、大きい建物でホテルの前に広いタクシー降車エリアがあって、ポーターが荷物を運んでくれるオールドスクールなホテル。それなら日本が誇るラグジュアリーホテルの「The Okura Tokyo(オークラ東京)」!
チェックインしたら、まずは伝説のロビー空間を撮影。
32階の部屋に入ると天井の高さに驚き、THREEのアメニティに、摩天楼が一望できるバスルーム! ゆっくりお風呂に入るともう部屋から出たくなくなるリラックス感。
ルームサービスを頼んで優雅にのんびり過ごします。
ひとりなら入浴も食事も眠るのも誰にも気を遣わず、自分のペースでいられる。PR・広報として人と接することが多く、友人の家に居候して暮らす史香はそんな幸せを噛みしめるのでした。
こうして彼女や同僚のひとりホテルステイの様子が綴られる本作。二話以降は千葉県佐原の「佐原NIPPONIA」、群馬県前橋市の「白井屋ホテル」、東京都中央区の「HOTEL K5」、栃木県日光市の「日光金谷ホテル」と個性が光るホテルばかりが登場します。
千葉の小江戸・佐原で改築した古民家のまるまる一軒に泊まれるホテルに訪れた史香。レストラン棟で一人で食事する時もスタッフと積極的に会話すれば、いろんな情報を得られて楽しい時間になると教えてくれます。
また、暮らすようにホテルに連泊するのも、ひとりホテルステイの一つの形。史香の同僚には週五でホテル暮らしで土日だけ家に帰るというライフスタイルの女子がいます。
4泊しても2〜3万くらいのホテルや料金が高い土日は避けて平日を選ぶなどの工夫をして、会社員でもホテル暮らしはできると身をもって証明する彼女は実家暮らし。一人暮らしではなく、ホテルステイを選ぶ理由はなんなのか⋯⋯?
コロナ禍で「おひとりさま」の需要が高まり、飲食店や宿泊施設が積極的に受け入れるようになりました。一人で行動をしてみたら、自分のペースで過ごす心地良さを再認識した人もいるのではないでしょうか。そして、「遠くに行かなくてもバカンス気分を味わえる」と2022年には韓国発信の「ホカンス」という言葉がZ世代の間で流行りました。ホテルとバカンスを組み合わせた造語で、ホテルでの滞在そのものをバカンスとして楽しむというもの。以前なら誰かと一緒で、滞在先の観光が主流だった旅行の概念がこの数年で変わっているのです。
こんな流れから「ひとりホテルステイ」は、2023年の新しいトレンドになるかもしれません⋯⋯!
【漫画】『おひとりさまホテル』第1話を試し読み!
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『おひとりさまホテル』
マキ ヒロチ(著) まろ(原著)
「いつもの日常を特別な時間に」――設計会社に勤める塩川史香は、ホテルで過ごす「おひとりさま」の時間をとても大切にしている。友人たちもそれぞれホテルに対するこだわりがあって……『いつかティファニーで朝食を』のマキヒロチが描く、ホテルを巡って彩られる様々な物語――!!
漫画:マキヒロチ
第46回小学館新人コミック大賞入選。ビッグコミックスピリッツにてデビュー。リアルな人間模様を描いたストーリー漫画から、時計専門漫画、ギャグエッセイなど幅広いジャンルで活動中。著作に『いつかティファニーで朝食を』『創太郎の出張ぼっちめし』(いずれも新潮社刊)『それでも吉祥寺だけが住みたい街ですか?』『SKETCHY』などがある。
©まろ マキヒロチ/新潮社
構成/大槻由実子
編集/坂口彩
原案:まろ
1992年東京生まれOL。「ひとり時間の楽しさ」を多くの人に伝えたいと、2017年にひとり時間の過ごし方を提案するメディ『おひとりさま。』を設立。Instagramアカウント(@ohitorigram)のフォロワーは5万人超。ひとりでこそ行きたいお出かけ情報を日々発信し『Hanako.tokyo』では「ひとりホテルのすゝめ」を連載中。ホテルや飲食店とコラボして“ひとり向けプラン”の企画・プロデュースも手掛ける。